労務ニュース スマイル新聞

2019年7月23日 火曜日

令和元年7月23日第486号

パワハラ防止措置義務と実務への影響

 令和元年5月29日、職場におけるパワハラ防止措置を企業に義務付ける「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立しました。
法制化により、企業が行うべきパワハラ問題への取組みにはどのような影響が出るのでしょうか。
パワハラは従前から社会問題として周知されており、法制化によって新たな概念が生まれるわけではありません。しかし事業主にとっては、これまで講じてきたパワハラ防止措置の見直しと改善を行う必要があります。
 現状、厚労省においてパワハラの定義や6類型は示されているものの、パワハラ防止措置に関する労働施策総合推進法においては、具体的に何がパワハラに該当し、事業主がどのような措置を講じるべきかは明確にされていません。
そして今後も、パワハラと業務上の指導の境界線は様々な要因により異なるため、明確な線引きは困難であることが予想されます。
したがって企業には、パワハラか否かをはっきりと線引きすることよりも、「これはパワハラに当たらないだろうか」と「考える癖をつける」ことが求められます。
企業内におけるハラスメント認識を共通化していくことで、パワハラを企業全体で考える問題とし、企業側と従業員の双方が納得のいく認識を持つことが理想です。
 法制化に伴い、企業がこれまで以上に注意すべきなのが「パワハラ相談対応」です。セクハラ事案とは異なり、被害者側にも業務上のミスや落ち度、勤務態度の不良等の問題があるケースも想定され、事実確認にはより慎重な対応を要するためです。
また相談後に配置転換等を行う場合は、相談者側が「相談をしたことによる不当な扱いだ」と誤解しないよう意見聴取や転換理由の説明等の丁寧な対応が求められますし、さらに加害者から相談者への報復行為にも注意しなければなりません。
今後はパワハラ相談に対する対応の在り方がより一層重要になります。パワハラ相談があった際の調査や事実確認の方法を明確にルール化しておくことが必要と言えます。
 また、そもそも相談に対応するだけではなく、パワハラを未然に防ぐための「パワハラ教育」も非常に大切です。単に実施するだけでは意味がないという意見もありますが、繰り返し実施し、回数を重ねることで、従業員にパワハラ問題に向き合ってもらう機会を作り続けていくことが重要ではないでしょうか。


投稿者 イケダ労務管理事務所

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