労務ニュース スマイル新聞
2016年5月23日 月曜日
平成28年5月23日第410号
労働基準法及び健康保険法の産前・産後休業
1.事例
労働基準法第65条には、産前6週間・産後8週間の「産前・産後休業」期間の
条文が設けられ、また、健康保険法第102条には出産した場合の保険給付
として「出産手当金」の定めがあります。今回は、上記法律の出産における
基準日について触れます。
今回モデルケースとして、出産予定日9月1日(産前休業開始日7月22日)
の女性が、体調不良で産前休業開始日の数週間前から休みを取り、早産と
なり7月1日出産した事例で解説します。
2.労働基準法
労働基準法では「産前6週間の期間は出産予定日を基準として計算し、産後
8週間は現実の出産日を基準として計算する(出産予定日は産前6週間に
含まれる)。6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に予定された
出産予定日よりも遅れて出産した場合、予定日から出産当日までの期間は、
産前休業期間に含まれる」とあり、産前休業の基準日は「出産予定日」として
います。よってモデルケースでは産前休業は出産日(7月1日)の
1日だけとなり、出産日の翌日の7月2日から産後休業期間となります。
3.健康保険法
一方健康保険法の出産手当金では「被保険者が出産したときは、
出産の日(出産の日が出産予定日後であるときは、出産予定日)
以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの
間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、1日につき、
標準報酬日額の3分の2相当額を支給」とされています。
産前休業の基準日が「出産の日」であるため5月21日から
産前休業が始まり産後休業が終了するのは8月26日となります。
4.まとめ
このように法律の条文により産前休業期間の考え方が変わります。
モデル例の女性が産前休業前の休みに労務に服していなければ
出産手当金が支給されます(切迫早産などの理由で傷病手当金の
支給を受けていた場合、出産手当金の内払となります)。
結果、平成26年4月から始まった産前産後期間中の保険料免除
申請も可能です。
*通常、産前休業に入る前まで労務に服し休業に入るため、
出産予定日より早く出産した場合は産前休業期間が短くなります。
産前休業に入る前、年休など利用し労務に服していない期間が
あれば(出産手当金額は年休収入により調整あり)、
モデルケースほど出産日が早くない場合であっても、
保険料免除制度等の手続きには注意が必要です。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
1.事例
労働基準法第65条には、産前6週間・産後8週間の「産前・産後休業」期間の
条文が設けられ、また、健康保険法第102条には出産した場合の保険給付
として「出産手当金」の定めがあります。今回は、上記法律の出産における
基準日について触れます。
今回モデルケースとして、出産予定日9月1日(産前休業開始日7月22日)
の女性が、体調不良で産前休業開始日の数週間前から休みを取り、早産と
なり7月1日出産した事例で解説します。
2.労働基準法
労働基準法では「産前6週間の期間は出産予定日を基準として計算し、産後
8週間は現実の出産日を基準として計算する(出産予定日は産前6週間に
含まれる)。6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に予定された
出産予定日よりも遅れて出産した場合、予定日から出産当日までの期間は、
産前休業期間に含まれる」とあり、産前休業の基準日は「出産予定日」として
います。よってモデルケースでは産前休業は出産日(7月1日)の
1日だけとなり、出産日の翌日の7月2日から産後休業期間となります。
3.健康保険法
一方健康保険法の出産手当金では「被保険者が出産したときは、
出産の日(出産の日が出産予定日後であるときは、出産予定日)
以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの
間において労務に服さなかった期間、出産手当金として、1日につき、
標準報酬日額の3分の2相当額を支給」とされています。
産前休業の基準日が「出産の日」であるため5月21日から
産前休業が始まり産後休業が終了するのは8月26日となります。
4.まとめ
このように法律の条文により産前休業期間の考え方が変わります。
モデル例の女性が産前休業前の休みに労務に服していなければ
出産手当金が支給されます(切迫早産などの理由で傷病手当金の
支給を受けていた場合、出産手当金の内払となります)。
結果、平成26年4月から始まった産前産後期間中の保険料免除
申請も可能です。
*通常、産前休業に入る前まで労務に服し休業に入るため、
出産予定日より早く出産した場合は産前休業期間が短くなります。
産前休業に入る前、年休など利用し労務に服していない期間が
あれば(出産手当金額は年休収入により調整あり)、
モデルケースほど出産日が早くない場合であっても、
保険料免除制度等の手続きには注意が必要です。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2016年5月 8日 日曜日
平成28年5月8日第409号
平成29年1月1日から改正される育児・介護休業法
妊娠・出産・育児期や家族が介護の必要な時期に、男女ともが離職することなく
働き続けることができるよう、仕事と家庭が両立できる社会の実現を目指し、
雇用環境の整備に向けた改正が施行されます。その中でも今回はアベノミクスの
第3の矢である「介護離職防止」に向けた「仕事と介護の両立支援制度の見直し」
について紹介します。
1.介護休業の分割取得
対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業の分割取得が
可能となります。(現行は通算93日まで、原則1回が上限)
2.介護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化
半日単位(所定労働時間の2分の1)の取得を可能となります。(現行は原則1日
単位。努力義務では時間単位の取得が可能)
3.介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)
介護休業とは別に、利用開始から3年間の間で2回以上の利用を可能とする
制度の導入が事業主の義務となります。事業主は次のいずれかの措置を
選択して講じなければなりません。
「所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)」「フレックスタイム制度」
「始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ」「労働者が利用する介護サービス
費用の助成その他これに準じる制度」
4.介護のための所定外労働の免除(新設)
介護終了までの期間について請求することのできる権利として新たに新設されます。
ただし、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者等は労使協定で除外が
可能。1回の請求につき1ヵ月以上1年以内の期間で請求でき、事業の正常な
運営を妨げる場合には事業主は拒否できます。
5.有期契約労働者の介護休業の取得要件の緩和
「(1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
(2)93日経過から6ヵ月を経過する日までの間に、その労働契約
(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了する
ことが明らかでない者」と取得要件が緩和されます。
(現行では(1)は同様、(2)が「1年以上」、介護休業開始予定日から
93日を経過する日以降の雇用継続見込みは削除されます。)
妊娠・出産・育児期や家族が介護の必要な時期に、男女ともが離職することなく
働き続けることができるよう、仕事と家庭が両立できる社会の実現を目指し、
雇用環境の整備に向けた改正が施行されます。その中でも今回はアベノミクスの
第3の矢である「介護離職防止」に向けた「仕事と介護の両立支援制度の見直し」
について紹介します。
1.介護休業の分割取得
対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、介護休業の分割取得が
可能となります。(現行は通算93日まで、原則1回が上限)
2.介護休暇(年5日)の取得単位の柔軟化
半日単位(所定労働時間の2分の1)の取得を可能となります。(現行は原則1日
単位。努力義務では時間単位の取得が可能)
3.介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)
介護休業とは別に、利用開始から3年間の間で2回以上の利用を可能とする
制度の導入が事業主の義務となります。事業主は次のいずれかの措置を
選択して講じなければなりません。
「所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)」「フレックスタイム制度」
「始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ」「労働者が利用する介護サービス
費用の助成その他これに準じる制度」
4.介護のための所定外労働の免除(新設)
介護終了までの期間について請求することのできる権利として新たに新設されます。
ただし、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者等は労使協定で除外が
可能。1回の請求につき1ヵ月以上1年以内の期間で請求でき、事業の正常な
運営を妨げる場合には事業主は拒否できます。
5.有期契約労働者の介護休業の取得要件の緩和
「(1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
(2)93日経過から6ヵ月を経過する日までの間に、その労働契約
(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了する
ことが明らかでない者」と取得要件が緩和されます。
(現行では(1)は同様、(2)が「1年以上」、介護休業開始予定日から
93日を経過する日以降の雇用継続見込みは削除されます。)
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