労務ニュース スマイル新聞
2019年6月23日 日曜日
令和元年6月23日第484号
電子申請について
社会保険等のe-Gov電子申請がリリースされて、早くも10年以上が経ちます。当初はなかなか普及しませんでしたが、システムが改善されメニューも増えた現在は、以前に比べ随分と使われるようになりました。来年度には、一部で電子申請における義務化も開始されるようです。電子申請が作業効率を向上させることは間違いなく、今後は急激に需要も高まっていくものと思われます。京都府社会保険労務士会に所属する社労士の中でも、すでに半数以上が電子申請を使っています。また、ソフト会社から電子申請に連動した各種商品が販売されるようになり、企業における使い勝手が一段と向上することも、更なる普及率の向上の一因となっているようです。
来年度からの義務化はまだ明確に確定されたものではないようですが、資本金あるいは出資金が1億円以上の企業を対象に、一部の申請手続きからスタートをするようです。この流れはおそらく数年内にほとんどの企業へと浸透するものと思われます。今後、国あるいは自治体への申請手続き等については、社会保険関係に限らず、すべてがネット化へ移管されていくのでしょう。
しかし多くの企業が強い関心を持って電子申請に取り組んでおられる一方、相変わらず電子申請の案内をしても頑なに抵抗をされる企業もあります。その要因は、おおよそ以下の数点に集約できるようです。
・「申請書を作る際、ハローワークや年金事務所へ出向いて、職員に聞きながら作成しているから」
・「うちはハローワークが近いので、電子申請なんて必要ない」
・「全国展開している企業だから、本部の方針があり勝手に当事業所だけで電子申請を行うことはできない」
・「国が推進する電子申請で、費用(電子認証)が発生するのは納得できない」
・「電子認証取得許可を得る社内稟議を作るのが面倒だ!」
「稟議書作成が面倒だ」という理由は別として、確かに各企業それぞれにそれなりの事情があるのでしょう。ただ、現行のやり方を最善として事務作業の改善を試みないのは、大変勿体無い損失であるように思います。従業員の採用が難しくなってきた昨今、こうした簡単な方策でその状況が一部でも改善できるのであれば、企業としては、積極的に取り組むべきだと考えます。
社会保険等のe-Gov電子申請がリリースされて、早くも10年以上が経ちます。当初はなかなか普及しませんでしたが、システムが改善されメニューも増えた現在は、以前に比べ随分と使われるようになりました。来年度には、一部で電子申請における義務化も開始されるようです。電子申請が作業効率を向上させることは間違いなく、今後は急激に需要も高まっていくものと思われます。京都府社会保険労務士会に所属する社労士の中でも、すでに半数以上が電子申請を使っています。また、ソフト会社から電子申請に連動した各種商品が販売されるようになり、企業における使い勝手が一段と向上することも、更なる普及率の向上の一因となっているようです。
来年度からの義務化はまだ明確に確定されたものではないようですが、資本金あるいは出資金が1億円以上の企業を対象に、一部の申請手続きからスタートをするようです。この流れはおそらく数年内にほとんどの企業へと浸透するものと思われます。今後、国あるいは自治体への申請手続き等については、社会保険関係に限らず、すべてがネット化へ移管されていくのでしょう。
しかし多くの企業が強い関心を持って電子申請に取り組んでおられる一方、相変わらず電子申請の案内をしても頑なに抵抗をされる企業もあります。その要因は、おおよそ以下の数点に集約できるようです。
・「申請書を作る際、ハローワークや年金事務所へ出向いて、職員に聞きながら作成しているから」
・「うちはハローワークが近いので、電子申請なんて必要ない」
・「全国展開している企業だから、本部の方針があり勝手に当事業所だけで電子申請を行うことはできない」
・「国が推進する電子申請で、費用(電子認証)が発生するのは納得できない」
・「電子認証取得許可を得る社内稟議を作るのが面倒だ!」
「稟議書作成が面倒だ」という理由は別として、確かに各企業それぞれにそれなりの事情があるのでしょう。ただ、現行のやり方を最善として事務作業の改善を試みないのは、大変勿体無い損失であるように思います。従業員の採用が難しくなってきた昨今、こうした簡単な方策でその状況が一部でも改善できるのであれば、企業としては、積極的に取り組むべきだと考えます。
投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL
2019年6月 8日 土曜日
令和元年6月8日第483号
セクハラで企業が負う責任
女性活躍推進法の施行日(平成28年4月1日)から3年が経つにもかかわらず、後を絶たないセクシャルハラスメントに関わる企業の法的責任についてお伝えします。
1.セクシャルハラスメント(セクハラ)とは
男女雇用機会均等法では、職場におけるセクハラの定義を「(1)職場において行われる(2)性的な言動に対する雇用労働者の対応により(3)労働者がその労働条件につき、不利益を受け、または当該性的な言動により(4)当該労働者の就業環境が害されること」と規定しています。
2. セクハラに当たるかどうかの判断基準
「意に反するものであったか」「就業環境を悪化させるものであったか」が重要な判断基準となります。本人が明示的に反対せず、応じているように思えても、その言動が相手の望まない言動であった場合、セクハラとなることに注意が必要です。また、その判断基準は、客観的に判断しなければなりませんので、「平均的な(男性・女性)労働者が通常どのように感じるか」で判断されることになります。
3. セクハラに対する企業の法的責任
(1)民事上の不法行為責任(民法第715条第1項)
民法上、従業員が「職務の執行につき」第三者に損害を与えた場合に、使用者である企業も使用者責任として、加害者である従業員とともに損害賠償責任を負うことがあります。
(2)債務不履行責任(民法第415条)
企業は、労働者の労働環境を調整し、快適な環境を提供する義務があります。セクハラを認知したにもかかわらず放置したような場合には、この義務を怠ったものとして債務不履行責任を負うことがあります。
(3)男女雇用機会均等法上の責任
何ら対策を講じず、是正指導にも応じない場合には、企業名が公表されます。厚生労働大臣が、事業主に対して報告を求めたにもかかわらず、報告を行わない場合や、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料に処せられるとされています。
(4)労災補償責任
企業がセクハラを放置ないし黙認したことにより、労働者が精神疾患等のメンタル不全を招来した場合には、仮に企業に過失がなくとも、労災補償責任を負うことになります(無過失責任)。
女性活躍推進法の施行日(平成28年4月1日)から3年が経つにもかかわらず、後を絶たないセクシャルハラスメントに関わる企業の法的責任についてお伝えします。
1.セクシャルハラスメント(セクハラ)とは
男女雇用機会均等法では、職場におけるセクハラの定義を「(1)職場において行われる(2)性的な言動に対する雇用労働者の対応により(3)労働者がその労働条件につき、不利益を受け、または当該性的な言動により(4)当該労働者の就業環境が害されること」と規定しています。
2. セクハラに当たるかどうかの判断基準
「意に反するものであったか」「就業環境を悪化させるものであったか」が重要な判断基準となります。本人が明示的に反対せず、応じているように思えても、その言動が相手の望まない言動であった場合、セクハラとなることに注意が必要です。また、その判断基準は、客観的に判断しなければなりませんので、「平均的な(男性・女性)労働者が通常どのように感じるか」で判断されることになります。
3. セクハラに対する企業の法的責任
(1)民事上の不法行為責任(民法第715条第1項)
民法上、従業員が「職務の執行につき」第三者に損害を与えた場合に、使用者である企業も使用者責任として、加害者である従業員とともに損害賠償責任を負うことがあります。
(2)債務不履行責任(民法第415条)
企業は、労働者の労働環境を調整し、快適な環境を提供する義務があります。セクハラを認知したにもかかわらず放置したような場合には、この義務を怠ったものとして債務不履行責任を負うことがあります。
(3)男女雇用機会均等法上の責任
何ら対策を講じず、是正指導にも応じない場合には、企業名が公表されます。厚生労働大臣が、事業主に対して報告を求めたにもかかわらず、報告を行わない場合や、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料に処せられるとされています。
(4)労災補償責任
企業がセクハラを放置ないし黙認したことにより、労働者が精神疾患等のメンタル不全を招来した場合には、仮に企業に過失がなくとも、労災補償責任を負うことになります(無過失責任)。
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