労務ニュース スマイル新聞

2018年6月23日 土曜日

平成30年6月23日第460号

2つの最高裁判決(同一労働同一賃金)


1.2つの待遇格差
 平成30年6月1日、正社員と非正社員との間の賃金格差が労働契約法第20条の禁
じる不合理な格差に該当するかという問題で、最高裁判所が初めて2つの判決を下しま
した。正社員と契約社員の待遇格差の問題(ハマキョウレックス事件)と定年前の正社
員と定年後再雇用の契約社員との待遇格差の問題(長澤運輸事件)でした。
2.判決の内容
 ハマキョウレックス事件の最高裁で争われたのは、住宅手当と皆勤手当でした。とも
に就業規則上正社員には支給され、契約社員には支給されないものとされていましたが、
この点について、最高裁は住宅手当の格差は不合理ではないとし、皆勤手当の格差は不
合理であると判示しました。
 その理由として、住宅手当は住宅に要する費用を補助する趣旨で支給されていること
から、転居を伴う配転が予定されている正社員は、就業場所の変更が予定されていない
契約社員に比べて住宅に要する費用が多額になりうることを挙げました。
一方、皆勤手当については、皆勤を奨励する趣旨で支給されていることから、職務内
容が異ならない正社員と契約社員とで差異が生ずるものではないとしました。
 長澤運輸事件の最高裁では、能率給及び職務給、精勤手当、住宅手当及び家族手当、
役付手当、超勤手当並びに賞与の格差が問題となりました。精勤手当と超勤手当につい
ての格差はハマキョウレックスと同様の理由で不合理であるとしましたが、それ以外に
ついては不合理でないとしました。
 その理由として使用者が賃金格差を縮める努力をしたことや定年後再雇用の契約社
員は老齢厚生年金を受給できることなどが考慮されました。
3.今後の企業対応
 今回の最高裁の判断は、支給項目の趣旨から個別具体的な判断をしており、事案によ
って結論は変わりうると思われます。今後法改正が行われ、行政の通達や指針という形
で最高裁判決の趣旨を踏まえた対応を使用者側に求めることが予想されます。企業の対
応としては、社員間の待遇差がある場合に予め理由を説明しておくべきでしょう。また、
手当を見直し、給与体系をシンプルにすることで、無用な労使紛争を起こさないことも
必要になってくると思います。今から検討を始めていきましょう。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2018年6月 8日 金曜日

平成30年6月8日第459号

時間外労働の上限規制の導入


1.時間外労働の上限規制の導入 
働き方改革関連法案の1つとして時間外労働時間の上限規制の導入がされる予定です。働き方改革関連法案とは、8つの労働法の改正を行う、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案の通称です。平成30年に国会に提出され、衆議院で審議が行われています。

2.現状
法定労働時間を超えて、時間外労働や休日労働をさせる場合、あらかじめ労使間で時間外労働の上限時間等を取り決め、「時間外・休日労働に関する協定届」を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第36条)。その際の時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間です。
しかし、特別条項を適用させれば、臨時的な特別な理由がある場合に限り、年間6回までの範囲内で、月45時間を超えて時間外労働させても良いことになっています。特別条項を適用させた場合の年6回までの月の上限は青天井であり、実質的に無制限状態です。そのため、今回の法改正で規制されます。

3.変更内容
時間外労働の上限時間数は次のように制限されます。
<原  則>月45時間 年360時間(変更なし)
<特別条項>
次の全ての条件を満たす場合にのみ、特別条項が適用可能となります。
(1)月100時間以下(休日労働時間を含む)
(2)2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで80時間以内
(3)年720時間以下
(4)月45時間を上回る月数は年6回まで(変更なし)

 法律が可決されれば、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用されます。人材不足が叫ばれている昨今、時間外労働は簡単に削減できるものではありません。そのため、働き方の見直しや風土改革などが必要な場合は早めの対策をお勧めします。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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