労務ニュース スマイル新聞

2014年1月24日 金曜日

平成26年1月23日第354号

【ブラック企業重点監督の結果】について
 
 前号(第353号)に続いて、厚生労働省から発表がありました表題についてもう少し詳細な報告を行います。
 厚生労働省は、去年9月に「若者の使い捨てが疑われる企業」への重点監督を実施しました。監督にあたっては、「時間外・休日労働が36協定の範囲か?」、「賃金未払残業(サービス残業)がないか?」、「長時間労働者について、医師による面接指導などの健康確保措置が講じられているか?」を重点確認事項とし、監督調査を行いました。
 その結果、重点監督を実施した5,111社のうち、82%にあたる4,189社で、何らかの労働基準関連法令違反が見つかりました。各業種での比率を見ると、特に接客娯楽業(87.9%)、運輸・交通業(85.5%)、保健衛生業(83.6%)、商業(83.2%)が全体平均である82%を上回る結果となっています。
 主な法令違反は、次の通りに分類されます。

(1)違法な時間外労働があった・・・2,241社、43.8%
特に運輸・交通業(56.8%)、接客娯楽業(52.0%)が全体平均を大きく上回る結果となっています。

(2)賃金未払残業があった・・・1,221社、23.9%
特に建設業(37.0%)、接客娯楽業(37.0%)、商業(32.5%)、金融・広告業(32.1%)が全体平均を大きく上回る結果となっています。

(3)過重労働による健康障害防止措置が実施されていなかった・・・71社、1.4%
特に製造業(2.6%)、教育・研究業(2.0%)、その他の事業(1.9%)が全体平均を大きく上回る結果となっています。
厚生労働省は、違反事業場に対し是正勧告書を交付し、是正しない事業場に対しては、送検も視野に対応する方針です。
なお、重点監督時に把握したものとして、1ヵ月の時間外・休日労働時間では、80時間超が1,230事業場(24.1%)あり、うち730事業場(14.3%)で100時間超が明らかになりました。

厚生労働省は、今後も引き続き若者の使い捨てが疑われる企業等に対し、監督指導を行っていくこととしています。

(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2014年1月24日 金曜日

平成26年1月8日第353号

労働基準監督署、監督官の職務

 昨年9月、若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督の実施(いわゆるブラック企業の実態調査)が行われ、新聞紙上にも大きく取り上げられました。調査は全国5,111事業所で行われ4,189事業所で違法な時間外労働など労働基準関係法令違反がありました。
 京都労働局管内(調査対象事業所119、内違反事業所90)では、労働基準法第37条(割増賃金の支払い)違反で、過去に遡り、労働者計163名に約1億7,800万円の割増賃金が支払われることとなった事例があります。これらの違反があった場合、労働基準監督署から是正勧告が行われ、改善がない場合、送検、社名が公表されます。
 労働基準監督官は、行政指導に従わず繰り返し法違反を犯し、また労働災害の発生原因に労働関係法規違反があると、刑事訴訟法による「特別司法警察職員」の職務を行います。「特別司法警察職員」の職務とは、一般の警察官と同じです。違反が悪質な場合、書類送検・強制捜査取り調べ・逮捕・被疑者を身柄拘束のまま送検する権限が与えられています。
どの様な送検があるか、京都労働局の事例2つを紹介します。

(1)賃金不払いで書類送検・・・平成24年3月14日、最低賃金法違反被疑事件について、京都地方検察庁に書類送検。
 被疑者Aは、洋菓子製造・販売業を営む者であり、パート労働者1名に対して、平成23年4月分から同年6月分までの賃金合計183,131円をそれぞれの所定支払日である毎月末日に支払わなかった疑い。

(2)労災隠しで書類送検・・・平成24年3月22日、労働安全衛生法違反被疑事件について、京都地方検察庁に書類送検。
 A社は大阪府内で建築請負業を営む事業者であり、3次下請会社として京都市内の家電量販店新築工事現場においてシャッター等工事を請負っていたが、平成22年8月8日、同社の現場作業員が作業中にトラックの荷台から落下して、左踵骨(しょうこつ)骨折等の負傷をし、2ヵ月以上休業することとなったにもかかわらず、Bは2次下請会社C社元大阪支店長Dと共謀し、所轄労働基準監督署長へ労働者死傷病報告書を提出せず、労災隠しを図った疑い。

※「労災隠し」とは労災を隠すという意味ではなく、労働者死傷病報告書の未提出を指します。

(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2014年1月24日 金曜日

平成25年12月23日第352号

会社分割とうつ病
 
近年、仕事によるストレス(業務による心理的負荷)が関係した精神障害についての労災請求が増え、その認定を迅速に行うため厚生労働省では平成23年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を新たに定め、これに基づいて労災認定をしていますが、平成23年度の精神障害労災請求は1,272件(支給決定件数325件)と毎年増加傾向が止まりません。企業において、危機意識を持ったますますの労務管理、対応に配慮が必要です。

1.会社分割とは
 会社分割とは、平成12年の商法改正で認められた制度で、会社の一部を切り離して、設立会社へ移転するか(新設分割)、または、他の企業(承継会社)に吸収させるか(吸収分割)の方法により分社化を認める制度で現在は会社法に規定があります(会社法第757条~第766条)。いずれにしても消滅するA社の権利義務関係は包括的に、新設会社(C社)、または存続会社(B社)に承継されます。

2.会社承継法
 この会社分割に併せてその労働者はどのように取り扱われるのかが問題となります。労働契約も承継されるため、すなわち「承継強制の不利益」と「承継排除の不利益」が想定され、異議申し立ての制度が設けられています。

3.使用者の責任
 分割会社(A社)から、B社またはC社に移行後、短期間にうつ病に罹患したのであれば労災請求手続きはB社、C社が承継するとしても、その労働者が損害賠償を請求するのはA社なのかB社、C社なのかという問題になります。
雇用されている企業が異なっていても業務自体は一貫して継続しているのであれば使用者側に、それぞれ管理不十分として連帯して損害賠償ができると思われます。
 雇用されている企業が異なっていて、業務自体も一貫して継続していないとき、A社の業務でうつ病になったのか、B社またはC社の業務でうつ病になったのかは明確ではありません。理論的には、A社とB社またはC社に別々に損害賠償を請求することにならざるを得ませんが、うつ病という疾患上短期に罹患するとは考えにくく、やはり分割時には顕在化していなくても、分割会社にも大きく責任を問われることになるでしょう。
 安全配慮義務違反の債務が当然に承継されることは分割の際の計画書(契約書)の記載の有無もありますが、記載に有ると無いとにかかわらず、分割会社にも企業として責任は問われてくることになると思われます。

(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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