労務ニュース スマイル新聞

2017年6月23日 金曜日

平成29年6月23日第436号

『売主が外国人または海外在住日本人の不動産登記』について


日本に不動産を所有する海外居住の
外国人または外国企業が、

その不動産を売却する場合や、
海外で居住する日本人が、

その不動産を売却する場合の
不動産登記に必要な書類や、
その他の留意点についてまとめてみました。


1.海外居住の外国人または海外在住日本人が
日本の不動産を売却する際の登記の書類


(1)権利証書は、通常の不動産取引と
同じように必要となります。


(2)印鑑証明書は(印影を証明するということを
制度としている国や地域は限られていますので)
「サイン証明書」によることになりますが、
次の2通りの方法があります。

(ア)署名すべき書類に対して
サイン証明書を綴り合わせて割印をし、
一体の書類としたものに対して、
証明権者が奥書証明するもの(奥書証明方式)

(イ)申請者のサインを、単独で証明するもの
(単独証明方式)


(3)登記用委任状について、
奥書証明方式の場合は一体化していますが、
単独証明方式の場合は、
全く同一のサインであると登記官が認める必要があります。


(4)法人の場合、資格証明書が必要になりますが、
実務上では[宣誓供述書]を利用して
手続を進める方法が多く採用されています。


(5)固定資産評価証明書も、
通常の取引と同じように必要になります。


(6)外国人が登記名義人のときの住所や
氏名が変更されているときは、
その内容や原因を記載した「宣誓供述書」を
利用することになります。


2.サイン証明書について


(1)外国人の場合の証明書

(ア)当該外国の在日大使館・領事館における証明権者

(イ)当該外国の本国の公証人や弁護士等


(2)日本人の場合の証明書

(ア)在外日本大使館・領事館における証明権者

(イ)日本の公証人


3.買主の源泉徴収義務について


(1)源泉徴収義務は買主にありますが、
個人が自己または親族の居住用に取得した土地等で、

その対価が1億円以下の場合は、
源泉徴収義務が生じません。

(ア)買主が法人の場合、対価の額に関わらず、
源泉徴収義務が生じます。

(イ)買主が個人の場合でも居住用でない場合は、
源泉徴収義務が生じます。


(2)手付金や中間金でも、それぞれの支払時に
源泉徴収する義務があります。


(3)源泉徴収の税率は、
源泉所得税及び復興特別所得税の合計で
10.21%です。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2017年6月 8日 木曜日

平成29年6月8日第435号

労災で健保から給付を受けたときの取扱いの変更


傷病等の治療のために労災保険から
給付を受けるべきところ、
健康保険から給付を受けてしまうことあります。

その際の調整規定が変更されました。


1.労災保険と健康保険の間で直接調整を行うことが可能に

労災保険から給付を受けるべきケガや病気で
健康保険から給付を受けた場合は、

従来、健康保険から労災保険に切替えの際、
従業員が健康保険から受けていた給付を
健保組合等に全額返還してから、

改めて労働基準監督署に対して
労災保険申請を行う必要がありました。


給付額が高額の場合は
従業員にとって大きな負担となっていました。

これに対し厚生労働省が発した
2017年2月の通達によると、

従業員が労働基準監督署に申し出ることで、

労災保険の支払先として健保組合等を
指定することを可能とし、

労働基準監督署から健保組合等に対して
直接支払いを行うことで、

労災保険から健康保険への切替えを
行うことができるようになりました。


2.新しい取扱いによる切替え手順

(1)被保険者が、労働基準監督署に、
いったん全額を自己負担することなく
労災保険を請求したい旨の申出を行い、

健保組合等から労働基準監督署に
レセプト等を提出することの同意書を提出

(2)労働基準監督署と健保組合等の調整

(3)被保険者が、支払先を健保組合等とした
「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を作成し、
健保組合等から送付された返還通知書と
労災保険給付の受領を健保組合等に
委任する旨の委任状を添付し労働基準監督署へ提出

(4)提出された請求書に基づき、
労災保険から被保険者と、健保組合等へ給付


3.従来の取扱いによる手続きは今後も可能
新しい取扱いが可能となりましたが、

今後も、いったん健保組合等に
費用の全額を返還したあとで労災保険から
給付を受ける従来の手続きも可能です。

新しい取扱いは、従業員の金銭的負担が大きく
軽減された一方、以下の理由から、
従来の取扱いよりも手続きが煩雑になったといえます。

・労災申請を行う前にあらかじめ労働基準監督署
への申出を行わなければならない。

・同意書や委任状を作成して提出する必要がある。

・健康保険から給付を受けている7割部分自己負担の
3割部分でそれぞれ労災保険請求書を作成しなければならない。
そのため、健康保険から受けた給付の金額が少額のときは、
従来の取扱いに基づいて労災保険への
切替えを行ったほうが都合がよい場合もあります。                    

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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