労務ニュース スマイル新聞

2019年8月23日 金曜日

令和元年8月23日第488号

労働白書平成30年版から見た労働者の状況について

1.日本の労働力の状況
 「人手不足」と言われる昨今ですが、「平成30年版厚生労働白書」によると、平成29年、男性の労働力人口(15歳以上の人口のうち、就業者+完全失業者を指す)は3,775万人と前年から2万人増加しています。同様に女性においても、労働力人口は45万人増加し2,936万人となっています。就業者は、男性は3,717万人、女性は2,946万人で、男性が45万人増加、女性は87万人増加となっています。労働への参加は、女性を中心に着実に進んでいるといえます。
 非労働力人口のうち、就業希望者(369万人)に多い非就職理由を見ると、男性は「適当な仕事が有りそうにないため」、女性は「出産・育児のため」でした。
 正規雇用労働者数も平成27年以降は増加に転じており、平成29年の増加数は、男性が23万人、女性が34万人と大幅です。一方、非正規雇用労働者は男女ともに65歳以上が大きく増加しています。これは定年退職後は継続雇用等により非常勤等の非正規雇用で働き続ける高齢者が増加していることが一因であると思われます。
2.若年層を中心とした完全失業率の低下
 平成30年の完全失業者は166万人です。前年度に比べ24万人減少し、9年連続の減少となりました。また完全失業率についても、全体で前年度より0.4ポイント低下し2.4%となりました。こちらも8年連続の低下です。
3.失業率の国際比較について
 失業率を国際的に比較してみます。統計では、平成29年度の失業率OECD平均は5.8%ですが、我が国は2.8%と最も低い水準です。リーマンショック等の影響で、各国で失業率は上昇しました。近年は改善傾向にありますが、イタリアとフランスは相対的に改善が遅れています。OECDにおける平均失業率を年代別に見ると、15~24歳は11.9%、25~54歳は5.3%と、若年層の失業率が特に高い状態です。15~24歳の失業率はイタリアで34.8%、フランスでは22.3%ですが、我が国では4.7%と、OECDの中で最も低い水準にあります。
4.数字では読み解けない労働者の現況
 日本は正規雇用労働者が年々増加しており、失業率は諸外国と比較して低い水準にあります。しかし労働環境は数字だけで推し量れるものではなく、改善が必要とされる企業や体制も少なくありません。今後も、従業員がより活き活きと働き、長く定着できる環境づくりが求められます。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2019年8月 8日 木曜日

令和元年8月8日第487号

相続法の改正と特別寄与制度の創設

 約40年ぶりに相続法が改正されたことに伴い、令和元年7月1日から特別寄与制度が創設されました。相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護を行っていた場合、相続人に対して金銭の請求をすることができるというものです。
1 創設の経緯
 相続人でない者は、どんなに被相続人の療養看護に努めたとしても相続人ではないため、被相続人の死亡に際し相続財産の分配にあずかれません。一方、相続人である限りは、被相続人の療養看護を全く行っていなかったとしても相続財産を取得することができます。
 以前から問題視されていたこのような不公平を解消するために創設されました。
2 制度のポイント
 (1)特別寄与の対象
 特別寄与者は、上記の通り相続人ではない親族です。なお民法において親族とは、配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族を指します。事実婚の場合は、配偶者とはみなされません。
 なお特別の寄与とは、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことによって被相続人の財産を維持又は増加させたことをいいます。
 (2)特別寄与料の上限額
 相続開始時に有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額が、特別寄与料の上限です。例えば「全財産を特別寄与者以外に譲る」という遺言があれば、特別寄与料の請求権はあったとしても、請求することができません。
 (3)請求をすることができる期間
 特別寄与料の支払いについて、当事者間で協議が調わないときや、協議ができないときは、相続の開始を知ったときから6ヵ月又は相続開始のときから1年以内に家庭裁判所に請求することができます。
 (4)税制における特別寄与の取扱い
 相続税の課税対象です。相続人ではない親族が財産を取得するため、「相続税額の加算(いわゆる2割加算)」の対象となります。
 遺産を受け取ることのできる人の範囲が広がることは大変喜ばしいことです。しかし、この制度が新たに争いの火種を生むことも想像に難くなく、今後より具体的な整備が必要となる制度ともいえます。

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