労務ニュース スマイル新聞

2015年8月10日 月曜日

平成27年8月8日第391号

個別労働紛争解決制度

 平成13年に個別労働紛争解決促進法が制定され、個別労働紛争の簡易迅速な解決を促進するための行政上の制度(個別労働紛争解決促進制度)が整備され、運用されています。制度は次の3つあります。

1.総合労働相談コーナーによる情報提供・相談
 各都道府県労働局では、局内や労働基準監督署庁舎内、主要都市における駅周辺のビル内などに総合労働相談コーナーを設け、労働関係等に関する事項につき情報提供や相談を実施しています。労働関係についての相談等を広く受け付け、労基法・職安法などの法令違反とみられる事案については、管轄する機関を紹介したりしており、労働関係上のトラブルを広く、相談の対象としています。

2.都道府県労働局長の助言・指導
 行政機関が紛争の当事者に対して、紛争に係る事実関係を整理したうえで、法令や判例等に照らして問題点を指摘したり、解決の方向性を示たりすることにより助言・指導を行い、当事者による紛争の自主的解決を促進しようとするものです。例えば、解雇された労働者から申請があった場合、都道府県労働局長は、労契法16条(解雇権濫用法理)に照らし、当該解雇が解雇権濫用に当たるおそれが強いと判断されるときには、解雇を撤回したり再考したりするように事業主に助言・指導を行うことが考えられます。

3.紛争調整委員会によるあっせん
 個別労働関係紛争(募集・採用に関するものを除きます)につき、当事者の双方または一方から申請があった場合において、都道府県労働局長が必要と認めたときには、紛争調整委員会があっせんを行います。あっせんとは、当事者間による紛争の円満な自主的解決を図るため、紛争調整委員会が指名するあっせん委員が当事者の間に立って、話し合いを促進することを目的とする手続です。
 あっせん委員は、当事者双方の主張の要点を確かめ、実情に即して事件が解決するように努めることとされており、事件の解決に必要なあっせん案を全員一致により作成し、当事者に提示することもできます。合意が成立した場合、その合意は、民法上の和解契約として取り扱われます。
 あっせん委員は相手方があっせん手続に参加する意思がない旨を表明したり、あっせん案を当事者が受諾しないなど、紛争解決の見込みがない場合には、手続を打ち切ることができます。つまり、あっせんは相手方に参加を強制することはできません。

 上記のいずれも費用はかかりません。簡易・迅速な労働紛争解決が実現されているといえます。                
(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2015年8月10日 月曜日

平成27年7月23日第390号

年金分割制度とは?
 
 年金分割制度とは、離婚した場合、婚姻中の厚生年金保険(共済年金保険)記録を当事者間で分割することができる制度です。
 厚生年金は、世帯単位で構成されていて、年金受給権取得後は保険料を支払った被用者に対して支払われ、それによって扶養等されている配偶者も生活する仕組みです。そのため、被用者は離婚後も従前とさほど異ならない額の年金を支給され続けるのに対し、元配偶者は基礎年金及び自己の厚生年金加入記録に対する厚生年金のみしかもらえなくなります。これでは、元配偶者が長年専業主婦等をしていた場合に不公平であるため、婚姻期間中に会社員の被用者を支えた元配偶者の貢献度を年金額に反映させる等の主旨から、離婚時年金分割の制度が平成19年、20年から施行されています。

1.「合意分割」制度
 平成19年4月1日以降に離婚した場合で、当事者の婚姻期間を対象期間とし、それぞれの婚姻期間中に支払った保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)の合計額を分割する制度です。仮に合計額に対する支払比率が夫は80、妻は20なら、「按分割合」は20%を超え50%以下となります。この按分割合について、お互いに合意しなければなりません。当事者間で合意に至らなかった時は、家庭裁判所の家事調停等で決めることになります。

2.「3号分割」制度
 平成20年4月1日から離婚まで婚姻期間のうち配偶者が第3号被保険者であった期間(特定期間)を対象とし、被用者の標準報酬総額の2分の1が元配偶者に按分される制度です。当事者間での合意は不要で、婚姻期間を明らかにできる戸籍謄本等、請求者の基礎年金番号、標準報酬改定請求書等で手続きができます。ただし、平成20年3月以前の婚姻期間も対象にする場合は、平成20年3月31日以前の分割については上記の「合意分割」を請求することになります。
 
 両制度とも分割後の年金の支給を受けるには、必ず自己の記録で受給資格(原則25年)が必要です。事前に年金事務所に情報提供の請求ができ、また年金事務所への請求期間は離婚後2年以内です。
 年金分割は民法の財産分与の考え方を採用しながらも、年金には老後の生活保障という重要な役目があるため、その機能を蔑ろにする分割は認められないという制約(按分は上限2分の1)があります。また、分割は厚生年金部分のみで、夫が自営業者だった場合、夫は厚生年金には加入していないため、この制度では自営業者の元配偶者は年金の分割をしてもらえません。
(スマイルグループ 社会保険労務士)

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