労務ニュース スマイル新聞

2009年8月23日 日曜日

平成21年8月23日(第248号)...外国為替証拠金取引(FX取引)の課税について




外国為替証拠金取引(FX取引)で生じた利益については、雑所得となり所得税が課税されます。(以下、一般の個人を対象とした取扱いについてです。)

平成21年7月21日に、大阪証券取引所に外国為替証拠金取引市場(FX市場)が
開設され、東京金融取引所に続いて国内2ヵ所目のFX市場ができました。

以下に、FX取引の課税関係を説明します。

1.申告分離課税
FX取引を取引所※を通じて行ったものである場合には、その生じた利益には雑所得が分離課税で課税されます。(所得税15%、地方税5%)
※東京金融取引所・・・『くりっく365』
 大阪証券取引所・・・『大証FX』

 また、損失が生じた場合は、他の取引所の上場先物取引の利益と損益通算が可能で、なお損失が控除できない場合は、翌年以降3年間にわたって、『くりっく365』や『大証FX』、他の取引所上場先物取引で発生した利益から控除することが出来ます。


2.総合課税
 仲介業者による店頭取引(店頭FX)の場合は、給与所得などの他の所得と合算した総合課税となり、最大50%の税率(所得税40%、住民税10%)がかかる累進課税が適用されます。

 また、損失が生じた場合は、他の総合課税の雑所得の利益とは雑所得の区分の中で通算は可能ですが、他の給与所得などとの損益通算や他の取引所の上場先物取引との損益通算は不可となり、3年間の繰越控除もありません。

現行の税制上、一般的に所得が一定の額を超える投資家にとっては、『くりっく365』や『大証FX』などの取引所を通じた取引の方が有利と言えます。
                           (スマイルグループ 税理士)

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2009年8月 8日 土曜日

平成21年8月8日(第247号)...遅延利息権限法・年金遅延加算金法が成立




 現在の厳しい経済情勢の中、景気悪化で資金繰りに苦しむ中小企業からの「保険料滞納時の利息が高すぎる」との訴えに配慮したかたちで、平成22年1月1日から「遅延利息軽減法」が施行される予定です。あわせて、社会保険庁による年金記録漏れで、年金が未払いになっていた人に対し、過去5年を超える未払い期間を対象に、物価上昇分を上乗せして支給する「年金遅延加算金法」も、来春システムが整い次第施行されます。
1.「遅延利息軽減法」
<概要> 事業主が厚生年金・健康保険料、労働保険料を滞納したとき、現行年14.6%の遅延利息を、納期限または納付期限の翌日から3ヵ月(労働保険は2ヵ月)までの間に限っては年7.3%とする軽減措置がとられます。
<対象となる保険料>
(1)厚生年金保険料並びに厚生年金基金の掛金 (2)児童手当法の規定による拠出金 (3)国民年金保険料及び国民年金基金の掛金 (4)健康保険の保険料
(5)労働保険料            (6)労災保険法に規定する特別保険料
(7)石綿救済法に規定する一般拠出金  (8)その他9つの法律による保険料・掛金

2.「年金遅延加算金法」
<概要> 社会保険庁のミスにより、年金が長期にわたり未払いになった場合(年金の時効(5年)より遡って未払い金のある人が対象)、物価の上昇分を考慮した「遅延特別加算金」を上乗せして支給することとされました。すべての加算金は、非課税です。
<遅延特別加算金の支給>
 社会保険庁は、厚生年金保険・国民年金保険の受給権者または受給権者であった者(未支給年金の支給の請求権を有する者を含む)について、この法律の施行後に当該受給権に係る裁定が行われた場合において、その裁定による当該年金記録の訂正に係る受給権に基づき支払うものとされる年金給付の5年の時効を経過した分全額を基礎として、受給権を取得した日に適正な年金記録に基づいて裁定が行われたならば支払われることとされた日から当該年金給付等を支払うこととする日までの間の物価の状況を勘案して政令で定めるところにより算定した額を、当該年金給付等を支払うこととされる者に対し支給することとなります。
 また、この法律の施行日前に裁定が行われた者については、当該者の請求により行われるので注意が必要です。            (スマイルグループ 社会保険労務士) 


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2009年8月 1日 土曜日

平成21年8月1日(臨 時 号②)...雇用調整にまつわる支出の税務処理②



前回に引続き雇用調整に伴って支出した各種費用の税務処理について検討します。

1.解雇に伴う解雇予告手当の支払い
  解雇予告手当について、税務上は、「労働基準法第20条の規定により、使用者が予告をしないで解雇する場合に支払う予告手当は、退職手当等に該当する」こととされており、退職所得として源泉徴収の対象となります。

2.解雇処分等に係る紛争解決一時金の支出
  解雇無効の争いや過去の未払賃金の請求などに伴い、紛争解決金等の名目で金銭を支払った場合は、従業員であった者が受け取った金銭は実態により判断されます。
(1)過去の未払賃金分がある時や時間外労働手当を遡及して受給する場合は、それぞれの支給日の属する年分の給与所得として課税対象となります。
(2)紛争解決金の中に、その支払いが遅れたことに対する遅延損害金相当する部分がある場合には、その部分は雑所得として課税対象となります。
(3)不当解雇等に伴う精神的苦痛に対する慰謝料は、損害賠償金として非課税になります。

3.希望退職(勧奨退職)での優遇措置の扱い
  希望退職の募集や退職勧奨に当たって、優遇措置として退職金の加算や再就職(転職)支援を設けることが多いでしょう。退職金の加算額も含めて、企業側では全額を損金の額に算入します。従業員側は、全額を退職所得として所得税の課税対象となります。
  また、再就職(転職)支援のため人材紹介会社等への支出についても、全額を損金算入することになります。

4.休業手当の支給と雇用調整助成金の受給
  会社都合により休業手当を支払う場合は、給与として扱います。休業に伴い中小企業緊急雇用安定助成金を受けると益金の額に算入され法人税等の課税対象になります。
  勘定科目は雑収入として処理をします。助成金の収益計上は、原則として支給決定通知を受けた時点としてください。国または地方公共団体等から受け取る助成金等は、消費税の課税対象ではありません。


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2009年8月 1日 土曜日

平成21年8月1日(臨 時 号①)...雇用調整にまつわる支出の税務処理①



雇用調整の動きが非正規労働者だけでなく正規労働者にも広がり、企業と従業員等とのトラブルも増えています。雇用調整に伴って支出した各種費用の税務処理について2回に渡って検討します。

1.雇用調整にまつわる費用処理の原則
 雇用調整にまつわる費用について、企業側では、通常、全額が損金算入されます。
一方、従業員が何らかの金銭を受領した場合には、労働の対価としてであれば給与所得、退職によって受けるものであれば退職所得として、課税対象となり源泉徴収の対象となります。「損害賠償金で、心身に加えられた損害に基因して取得するもの」であれば、所得税は非課税となります。

2.内定取消しに伴う一時金(迷惑料)の支払い
  一般的には、「高校や大学の卒業予定者と企業との間に、就労の始期を卒業後としてい
 る場合には、解約権を留保した労働契約が成立したもの」と解され、採用内定を取り消しした企業が、慰謝料(迷惑料)として金銭を支払うと損金額に算入されます。受け取った側は、前項と同じく損害賠償金として、所得税は非課税となります。

3.「派遣切り」による損害賠償金の支払い
  派遣契約期間中の解除を行う場合、派遣先は派遣元に対する損害賠償金の支払いの問題が生じる可能性があります。厚生労働省は、労働者派遣法に基づく「派遣先が講ずるべき措置に関する指針」(平成21年3月31日改正指針公布)において、
・派遣先の責に帰すべき事由により中途解約する場合は、休業等により生じた派遣元の損害賠償をしなければいけないこと
・派遣契約に損害賠償に関する事項を定めることを求めています。
派遣元と派遣先との力関係や、その後の業務への影響を考慮して、実際に損害賠償金が支払われることは少ないかもしれません。法人税法上の損金性は問題ありませんが、消費税では一般的に対価性がないので、課税仕入には該当しません。



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2009年8月 1日 土曜日

平成21年8月1日(臨 時 号②)...雇用調整にまつわる支出の税務処理②

前回に引続き雇用調整に伴って支出した各種費用の税務処理について検討します。

1.解雇に伴う解雇予告手当の支払い
  解雇予告手当について、税務上は、「労働基準法第20条の規定により、使用者が予告をしないで解雇する場合に支払う予告手当は、退職手当等に該当する」こととされており、退職所得として源泉徴収の対象となります。

2.解雇処分等に係る紛争解決一時金の支出
  解雇無効の争いや過去の未払賃金の請求などに伴い、紛争解決金等の名目で金銭を支払った場合は、従業員であった者が受け取った金銭は実態により判断されます。
(1)過去の未払賃金分がある時や時間外労働手当を遡及して受給する場合は、それぞれの支給日の属する年分の給与所得として課税対象となります。
(2)紛争解決金の中に、その支払いが遅れたことに対する遅延損害金相当する部分がある場合には、その部分は雑所得として課税対象となります。
(3)不当解雇等に伴う精神的苦痛に対する慰謝料は、損害賠償金として非課税になります。

3.希望退職(勧奨退職)での優遇措置の扱い
  希望退職の募集や退職勧奨に当たって、優遇措置として退職金の加算や再就職(転職)支援を設けることが多いでしょう。退職金の加算額も含めて、企業側では全額を損金の額に算入します。従業員側は、全額を退職所得として所得税の課税対象となります。
  また、再就職(転職)支援のため人材紹介会社等への支出についても、全額を損金算入することになります。

4.休業手当の支給と雇用調整助成金の受給
  会社都合により休業手当を支払う場合は、給与として扱います。休業に伴い中小企業緊急雇用安定助成金を受けると益金の額に算入され法人税等の課税対象になります。
  勘定科目は雑収入として処理をします。助成金の収益計上は、原則として支給決定通知を受けた時点としてください。国または地方公共団体等から受け取る助成金等は、消費税の課税対象ではありません。

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平成21年8月1日(臨 時 号①)...雇用調整にまつわる支出の税務処理①



雇用調整の動きが非正規労働者だけでなく正規労働者にも広がり、企業と従業員等とのトラブルも増えています。雇用調整に伴って支出した各種費用の税務処理について2回に渡って検討します。

1.雇用調整にまつわる費用処理の原則
 雇用調整にまつわる費用について、企業側では、通常、全額が損金算入されます。
一方、従業員が何らかの金銭を受領した場合には、労働の対価としてであれば給与所得、退職によって受けるものであれば退職所得として、課税対象となり源泉徴収の対象となります。「損害賠償金で、心身に加えられた損害に基因して取得するもの」であれば、所得税は非課税となります。

2.内定取消しに伴う一時金(迷惑料)の支払い
  一般的には、「高校や大学の卒業予定者と企業との間に、就労の始期を卒業後としてい
 る場合には、解約権を留保した労働契約が成立したもの」と解され、採用内定を取り消しした企業が、慰謝料(迷惑料)として金銭を支払うと損金額に算入されます。受け取った側は、前項と同じく損害賠償金として、所得税は非課税となります。

3.「派遣切り」による損害賠償金の支払い
  派遣契約期間中の解除を行う場合、派遣先は派遣元に対する損害賠償金の支払いの問題が生じる可能性があります。厚生労働省は、労働者派遣法に基づく「派遣先が講ずるべき措置に関する指針」(平成21年3月31日改正指針公布)において、
・派遣先の責に帰すべき事由により中途解約する場合は、休業等により生じた派遣元の損害賠償をしなければいけないこと
・派遣契約に損害賠償に関する事項を定めることを求めています。
派遣元と派遣先との力関係や、その後の業務への影響を考慮して、実際に損害賠償金が支払われることは少ないかもしれません。法人税法上の損金性は問題ありませんが、消費税では一般的に対価性がないので、課税仕入には該当しません。


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