労務ニュース スマイル新聞

2014年8月29日 金曜日

平成26年8月23日第368号

みなし労働時間制が認められない場合とは
 労働基準法38条の2第1項では、「事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす」と定められており、会社の外で働く営業職や新聞記者のような、労働時間を正確に把握するのが難しい事業場外の仕事につく従業員について、実際の労働時間にかかわらず、決めた時間を労働時間としてみなす、みなし労働時間制を認めています。
 しかし、みなし労働時間制が認められないケースもあります。

1.みなし労働時間制認められなかった事例
 (1)阪急トラベルサポート事件
  平成26年1月24日、最高裁判所は旅行添乗員の業務につき、労働基準法の
 いう「労働時間を算定しがたいとき」にあたらないと判断しました。
  つまり、みなし労働時間で賃金を計算することは認められないとの判決が出ま
 した。
(2)この事件のポイント
  この事案では、添乗員の業務は予め旅行日程が定められ、これに従って行動
 するように管理されていること、変更の場合には会社に確認がいることなどから、
 「労働時間を算定し難いとき」にあたるとはいえないとしています。
  つまり、単に事業場外で業務に従事したということだけでは、みなし労働時間制
 とは認められません。
  営業職で、何時まで営業するのか、何件営業するのかを従業員に一切任せて
 いるような「使用者の具体的な指揮監督が及ばないような場合」でなければ、
 「労働時間を算定」できると裁判所は考えているということがポイントです。

2.企業側の対策
(1)事業場外で働く従業員に具体的指揮、監督をしているかを検討すること
  細かな指示がある場合、みなし労働時間制は適用されないと考えましょう。
(2)みなし労働時間制の適用がない場合も考え、労働時間の把握をすること
  労働時間を把握し、所定労働時間に対する賃金と時間外労働に対する
 割増賃金とは明確に区別して賃金を支払いましょう。上記の判例でも、
 日当に割増賃金部分が含まれていると企業側が主張しましたが、日当に
 区別がないため認められていません。
(3)素早い対応・解決
  従業員から割増賃金等の請求があった場合、速やかに社会保険労務士、
 弁護士などの専門家に相談し、解決をはかりましょう。上記の裁判でも、
 賃金と同額の「付加金」が請求され、認められました。その場合、賃金の2倍
 の額を支払うことになってしまいます。
  裁判での見込みを素早く知って,できれば裁判前に対処しましょう。
                                                          (スマイルグループ 弁護士)

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2014年8月 8日 金曜日

平成26年8月8日第367号

両立支援の制度づくり 「介護離職」回避のポイント

昨今、急激な少子高齢化とライフスタイルの変化により、
親の介護が原因で離職をする方も少なくありません。
このような「介護離職」により、優秀な人財を喪失しないために、
企業には仕事と介護の両立支援の制度づくりが求められています。

そこで、両立支援の制度づくりについてご案内します。

1.両立支援には「お互い様」の風土づくりが大事

親の介護をする従業員の年齢は一般的に40歳代後半以降です。
そのため、そう簡単には他の従業員に任せられない業務を担当している人も多く、
たとえ企業に両立支援制度が整えられていたとしても、
実際に利用することが難しい人もいるでしょう。

そこで必要とされるのは職場全体の意識を変えることです。
誰もがいつ、どのような状況で時間制約を持つかわからないと考え、
「お互い様」の風土を作ることが大事であり、
企業は支援する方針を明確にし、全従業員に表明することが重要です。

2.制度づくりの手順

(1)現在の介護支援制度と介護保険制度の概要の周知
 介護休業、介護休暇、短時間勤務制度など
 企業の介護支援制度の仕組みを周知するだけでなく、
 市区町村の介護保険制度や介護サービスについての相談先を知らせると、
 従業員にとって介護しながら、働く自分を具体的にイメージしやすくなります。

(2)介護をしている(していた)従業員に対するヒアリング
 介護経験のある従業員に対するヒアリングや、
 全従業員に対するアンケートの実施などにより、
 その企業にあった介護支援の制度や取組みを検討することができます。

(3)現在の介護支援制度の拡充や運用面の工夫、その他意識啓発の取組の検討
 (2)の結果を踏まえて、勤務地限定の正社員制度や
 育児・介護中の転勤猶予制度などの制度の拡充や運用面での工夫を図ります。
 また、実際に利用することができるように、
 管理職研修やキャリアデザイン研修の実施や
 仕事との両立に対応できる相談窓口を設置するなど
 意識啓発の取組みについても検討します。

(4)両立支援の周知と意識啓発の実行
 制度導入を従業員に積極的に周知することで意識啓発し、
 職場風土を変えましょう。
 また、「介護しながら働き続ける環境を作るのは自分自身でもある」
 ということを意識啓発する必要があります。
 そのためには、会社全体でワーク・ライフ・バランスを意識し、
 業務や体制を見直し、社員間の良好なコミュニケーションを心掛けることです。

上記のように制度づくりを実施し、人財の損失を阻止しましょう。

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2014年8月 1日 金曜日

平成26年7月23日第366号

労働安全衛生法の改正と「ストレスチェック」
 化学物質による健康被害が問題となった胆管がん事案の発生や、職場から受けるストレスによる精神障害を原因とする労災給付の支給決定の件数の増加等、最近の社会情勢の変化や労働災害の動向に即応し、また、労働者の安全と健康の確保対策の一層の充実のため、「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が平成26年6月25日に公布されました。
 改正は全部で7項目ありますが、なかでも改正の目玉であるストレスチェックについて記載します。労務管理や就業規則の見直し等が必要か、検討してみましょう。

 「労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師又は保健師による検査(ストレスチェック)」について(施行日は公布日から1年6ヵ月以内、今後政令で規定)
 (1)常時使用する労働者(厚生労働省は「基本的に健康診断の対象者と同様と
  想定している」とコメント。)が50人以上の事業場は、年1回、従業員にストレス
  チェックを実施することが義務付けられます。
 (2)検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本
  人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。
 (3)検査の結果、一定の要件に該当する労働者から申出があれば医師による
  面接指導を実施することが事業者の義務となります。
 (4)面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じ就業上の措置を
  講じることが事業主の義務となります。
   また、(3)の申し出をした労働者に対し、不利益な取り扱いをしてはならず、
  (4)に関しては、今後事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るた
  めの指針が公表されます。
 (5)検査や面接指導の実施の事務に従事した者は、その実施に関して知り得た
  労働者の秘密を漏らしてはならず、これには、行為者も事業者にも罰則があり
  ます。

 しかし、医師の意見を聴いた上で、作業の転換、労働時間の短縮等の措置が必要となった場合、きちんと対応できるでしょうか?意図的とまでは言わなくとも特定の業務を忌避する労働者が出る可能性があったり、当該措置を実施した後に不調者の職場復帰プログラムを作成したりする必要があるかもしれません。また、ストレスチェックは無料ではないので、予算措置を行う必要も出てきます。
 50人未満の事業場は当分の間、ストレスチェックの制度は「努力義務」ですが、きちんとした制度を考える良い機会かもしれません。
(スマイルグループ 社会保険労務士)

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2014年8月 1日 金曜日

平成26年7月8日第365号

労働災害を予防する方法について

 労働災害(以下「労災」と言う。)が発生すれば、労災保険から各種の補償給付がありますが、被災者本人の人生設計に支障が生じ、企業にも負担が生じます。
 勿論、事後の補償給付は大切ですが、いかに予防するかの工夫が最も大切です。
 過去の発生事例から予防方法を考えることができますので、参考にしましょう。

1.印刷会社オフセット印刷機に腕を巻き込まれた事案
 印刷機の配紙ローラーの埃を取り除くため、労働者がローラーを回転させ、刷毛で清掃作業をしていたところ、着衣の袖がローラーに巻き込まれたもので、厚さ1ミリ以下の隙間に腕を引き込まれ、肩関節まで巻き込まれたところで機械が停止した。
<負傷程度>  右腕挫滅、頚椎骨折
<災害の原因> 作業着の長袖のボタンが外れていたため、袖から巻き込まれた
           もの。
<予防方法>  安全管理規程において作業前の着衣点検の実施を定め、確実
           に励行する。

2.ひき肉製造機(ミートチョッパー)に指を巻き込まれた事案
 業務多忙で多量の原料肉を詰め込んだため、機械内部で詰まりが生じ、手を入れて詰まった肉を除去していたが、詰まりが除去できたところで機械が動いたため、刃に指を巻き込まれた。
<負傷程度>  右全指切創全治3ヵ月
<災害の原因> 電源を切らなかったため、機械内部の詰まった肉を取り除いた
           時点で、刃が作動したため、指が巻き込まれたもの。
<予防方法>  詰まった肉の除去作業時は、電源を切ることを安全管理規定に
           定めて徹底する。

 10人未満の事業所では、就業規則を労働基準監督署へ届け出る必要はありませんが、労災を予防するためには、就業規則に加えて安全管理規定を定め、作業開始前の準備の点検及び作業方法について、手順を定め、励行の徹底を図ることが必要です。
 就業規則は事業所と従業員を労災から守る大切な定めです。小さな規則が大きな安全を担保します。
(スマイルグループ 社会保険労務士)

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2014年8月 1日 金曜日

平成26年6月23日第364号

主な相続財産の範囲について

 相続が開始した場合の、主な相続財産の範囲についてまとめてみました。
 民法では『相続人は...被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りではない。』と、定められています。

1.親族法上・相続法上の権利義務
 (1)親族法上の権利義務(離縁請求権・認知無効確認請求権など)は、原則とし
  て対象となりません。但し、既に具体化している権利(内縁の不当破棄に基づく
  慰謝料・財産分与請求権・遅滞に陥った過去の扶養料など)については、相続
  の対象となります。
 (2)相続法上の権利義務も、原則として相続の対象とはなりませんが、相続の
  承認・放棄をする権利や遺留分減殺請求権などは相続の対象となります。

2.占有権
 民法上、明文の規定はありませんが、学説及び判例は占有権の相続を認めています。

3.保証債務
 (1)通常の保証債務は主に相続の対象となり相続財産に属します。
 (2)身元保証債務・包括的信用保証債務については、相続の対象となりません。

4.生命侵害による損害賠償請求権保証債務
 (1)財産的損害について、判例は損害賠償請求権の相続を肯定しています。
 (2)精神的損害(慰謝料)についても、『これを放棄したものと解する特別の事情
  がない限り』相続の対象となります。(最判.昭43.8.2)民法上、明文の規定は
  ありませんが、学説及び判例は占有権の相続を認めています。

5.生命保険金請求権
 (1)保険契約で、被相続人が自分を被保険者とし、かつ、自分を受取人としてい
  る場合は相続人が受取人たる地位を相続します。
 (2)保険契約で、被相続人が自分を被保険者として、受取人を別の特定人とし
  ていた場合には、その特定人が固有の権利として原始取得します。
 (3)保険契約で、被相続人が自分を被保険者とし、受取人を単に相続人として
  いた場合、死亡時の相続人が固有の権利として相続します。

6.香典
 香典は相続財産に属しません。遺族に対する慰謝と、葬儀費用の儀礼的分担を意味するものとされ、前者は遺族全員が、後者は葬祭の主催者が取得するものとされています。
(スマイルグループ 不動産鑑定士)

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