労務ニュース スマイル新聞

2015年1月15日 木曜日

平成27年1月8日第377号

マイナンバー制度

 平成25年4月8日、第335号で紹介したマイナンバー制度の続編です。
 政府発表によるマイナンバーとは、住民票を有する全ての人に対して1人1番号として、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認されるため活用されるものとされています。

 このマイナンバー制度が何故導入されるのか・・・政府発表によると、 
(1)個人ごとの所得や行政サービスの受給状況が把握しやすくなるため、負担を
 不当に逃れることや不正な給付防止をすることにより、公平・公正な社会を実現
 する。
(2)国民の利便性の向上を図ることにより、行政手続が簡素化され、添付書類の
 削減等により国民の負担を軽減。また、行政機関から様々なサービスのお知ら
 せを受け取ることができる。
(3)行政の効率化により、行政機関や地方公共団体で作業が重複している事柄に
 ついて無駄の削減により、時間・労力の大幅な削減ができる。
が主な目的とされています。 
                  
 平成27年10月、マイナンバー(個人番号)が市区町村から、住民票住所宛にマイナンバーが記載された「通知カード」が送られる予定です(中長期滞在者や特別永住者等の外国人にも通知)。「通知カード」には、氏名、住所、生年月日、性別、12桁のマイナンバーが記載されています。
 平成28年1月以降は、「個人番号カード」が各自の市区町村申請に基づき、交付が可能です。この「個人番号カード」は、本人の写真が表示されるとともにICチップが入り、身分証明証として利用できるほかe-Tax等の各種電子申請に利用できます。
 また、平成28年1月からは、社会保障、税、災害手続でマイナンバーが必要となります。雇用保険・社会保険の資格取得、年金の資格取得や確認・給付、税務署に提出する確定申告書、届出書等が該当します。その為、其々の事業所は各従業員のマイナンバーの取得が必要となります。マイナンバーは銀行預金口座にも適用され、当初は任意で登録を呼びかけ、その後義務化の是非について検討される予定です。

 マイナンバーは一生使用するもので、番号が漏洩し、不正に使われるおそれがある場合を除き変更されません。個人情報管理を含め適切な管理が必要となります。

 (スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2015年1月15日 木曜日

平成26年12月23日第376号

退職後も競業しないように言えるのか?

1.原則は縛れない
 退職後、元職員には、「職業選択の自由」が認められています。そのため、例えば、会社が時間をかけ、教え込んだ金型製造ノウハウ、技術を用いて、元職員が会社と同業の金型製造業(競業)を始めることも原則として自由です。しかし、元社員が、会社が開拓した顧客に営業をし、顧客を奪っていったとしたら、納得できるでしょうか?

2.競業避止義務に関する合意の有効要件
 このようなことを防ぐためには、あらかじめ「競業避止義務」を定めた就業規則、合意をしておくことが大切です。但し、「職業選択の自由」との関係から、「合理的範囲」と言えなければ無効となってしまいます。

その際のポイントは、裁判例を検討すると、
(1)労働者の地位
(2)使用者の固有の秘密・ノウハウの保護を目的とすること
(3)競業制限の対象職種・期間・地域が不当な誓約にならないこと
(4)代償措置の有無に
あるとされます。

3.企業側の出来る対策とは 
 裁判例から2.のポイントをふまえて、具体的に競業避止義務の「合理性」の判断をしてみます。
(1)営業職の場合、内勤の職員に比べて、その「地位」から合理性が認められや
 すいでしょう。技術系専門職の場合、長期間その専門技術を身につけたのに、
 その専門を活かす仕事がまったく出来ないと、合理性が認められにくい方向に
 働きます。
(2)顧客台帳、技術、ノウハウが「秘密」として、特定の職員にしかアクセスできな
 いなど、保護、管理されている場合、「ノウハウ」の保護のため、競業避止義務
 が認められやすいでしょう。
(3)期間については、1年以内、最長でも2年以内を目途にした方がいいでしょう。
 地域、職種も限定しておかないと、合理性が否定されやすいです。
(4)競業避止義務を課すかわりに、金銭の支給があると認められやすい方向にな
 ります。職業を縛ることになるので、労働の対価とされる「退職金」に加えて「秘
 密保持手当」等の支給がある方が、よりよいでしょう。

 大まかに言うと、希望する職業が出来ないことによる元職員の不利益があまりに大きく、それに対して、会社側の守るべき利益が少ない場合には、合理性が認められません。合理的かどうかを迷う場合には、社会保険労務士、弁護士などに相談しましょう。

(スマイルグループ 弁護士)

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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