労務ニュース スマイル新聞

2016年9月23日 金曜日

平成28年9月23日418号

「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金」が拡充されます!

平成28年度の第二次補正予算案が8月下旬に閣議決定されました。
「最低賃金引上げの環境整備として、経営力強化・生産性向上に向けて、
中小企業・小規模事業者への支援措置を推進・拡充する」という国の方針
を踏まえ、予算案には業務改善助成金及びキャリアアップ助成金等につ
いて助成額等の拡充が盛り込まれています。

業務改善助成金及びキャリアアップ助成金の拡充内容(概要)は次の
とおりです。

1.業務改善助成金
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための
設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内
で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた場合に、
その設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。

これまでは事業場内最低賃金が800円未満の事業場を対象としてい
たため、地域別最低賃金が800円以上の都道府県では利用できませ
んでした。今回の改正では、800円以上1,000円未満の事業場にも
対象が拡充されました。また、さらに大幅な事業場内最低賃金の引上
げ(90円以上)を行う事業場に対する助成措置が助成の上限額が増
額されたコースも新設されます。

なお、拡充後の本助成金の支給は、第二次補正予算の成立が条件と
なりますが、申請は予算成立前でも可能です。

2.キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金の「賃金規定等改定(処遇改善コース)」は、有期
契約労働者、短時間労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の
基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合に助成す
る制度です。

今回、中小企業が基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、昇給
した場合、助成額が加算されることになりました。さらに申請があった
企業において、生産性の向上が認められる場合は加算額が増額さ
れます。
生産性の向上については、決算書類から算出した労働者1人当たり
の付加価値から判断されます。
なお、本助成金の加算措置は第二次補正予算の成立と厚生労働省
令の改正等が必要となるため、現時点ではあくまでも予定です。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

2016年9月 8日 木曜日

平成28年9月8日417号

就業規則の不利益が認められる場合

1.原則は不利益変更には合意が必要
法律上、「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、
労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」
ただし、「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、
A.変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、
B.就業規則の変更が、
(1)労働者の受ける不利益の程度、
(2)労働条件の変更の必要性、
(3)変更後の就業規則の内容の相当性、
(4)労働組合等との交渉の状況
(5)その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは」

変更が許されています(労働契約法第9条、第10条)。
つまり、A「周知」とB「合理性」をクリアした場合には、例外的に不利益変更の効
力が生じるとしているのです。

2.合理性が認められた事例
 最高裁平成9年2月28日第二小法廷判決(第四銀行事件)では、実質的に
58歳定年制であったものを60歳に延長する措置に応じて、55歳以上の労働者
の賃金を引き下げることとした労働条件の不利益変更の合理性が認められました。

具体的には、
(1)就業規則変更による労働者の不利益は、従前の定年後在職制度の下で
得られると期待した金額を2年近くも長く働いてようやく得ることができるという
のであるから、不利益はかなり大きなもの、特に、高齢の行員にとっては相当
の不利益とみざるを得ないとする一方、

(2)定年延長の要請とこれに伴う55歳以上の賃金水準の見直しには高度の
必要性が認められること、

(3)変更後の55歳以上の労働者の労働条件内容は同業他社等ほぼ同様で
あり、賃金水準は社会一般の水準と比較してかなり高いこと、

(4)本件就業規則変更は、全行員の約90%(50歳以上の行員についても
約6割)で組織されている労働組合との交渉・合意を経て行われたものであ
るから変更後の就業規則の内容は労使間の利益調整がなされた結果とし
ての合理的なものであると一応推測できるといった事情から、「合理性」を
肯定しています。

3.合理性の基準
 他方で、特定の高年層(55歳以上)の労働者に集中的に不利益になる
という変更後の労働条件の不相当性が重視され、「合理性」が認められなか
った事例もあります。就業規則の不利益変更は、使用者側の変更の「必要性」
の程度と、労働者側の受ける不利益の大きさに応じ、「相当性」があるか、
比較衡量して「合理性」を決めると言えます。

投稿者 イケダ労務管理事務所 | 記事URL

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