労務ニュース スマイル新聞

2019年6月 8日 土曜日

令和元年6月8日第483号

セクハラで企業が負う責任


 女性活躍推進法の施行日(平成28年4月1日)から3年が経つにもかかわらず、後を絶たないセクシャルハラスメントに関わる企業の法的責任についてお伝えします。
1.セクシャルハラスメント(セクハラ)とは
男女雇用機会均等法では、職場におけるセクハラの定義を「(1)職場において行われる(2)性的な言動に対する雇用労働者の対応により(3)労働者がその労働条件につき、不利益を受け、または当該性的な言動により(4)当該労働者の就業環境が害されること」と規定しています。
2. セクハラに当たるかどうかの判断基準
「意に反するものであったか」「就業環境を悪化させるものであったか」が重要な判断基準となります。本人が明示的に反対せず、応じているように思えても、その言動が相手の望まない言動であった場合、セクハラとなることに注意が必要です。また、その判断基準は、客観的に判断しなければなりませんので、「平均的な(男性・女性)労働者が通常どのように感じるか」で判断されることになります。
3. セクハラに対する企業の法的責任
(1)民事上の不法行為責任(民法第715条第1項)
民法上、従業員が「職務の執行につき」第三者に損害を与えた場合に、使用者である企業も使用者責任として、加害者である従業員とともに損害賠償責任を負うことがあります。
(2)債務不履行責任(民法第415条)
企業は、労働者の労働環境を調整し、快適な環境を提供する義務があります。セクハラを認知したにもかかわらず放置したような場合には、この義務を怠ったものとして債務不履行責任を負うことがあります。
(3)男女雇用機会均等法上の責任
何ら対策を講じず、是正指導にも応じない場合には、企業名が公表されます。厚生労働大臣が、事業主に対して報告を求めたにもかかわらず、報告を行わない場合や、虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料に処せられるとされています。
(4)労災補償責任
企業がセクハラを放置ないし黙認したことにより、労働者が精神疾患等のメンタル不全を招来した場合には、仮に企業に過失がなくとも、労災補償責任を負うことになります(無過失責任)。   


投稿者 イケダ労務管理事務所

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