労務ニュース スマイル新聞

2018年10月23日 火曜日

平成30年10月23日第468号

運送業における有期労働者との差別について


 労働関係に関する重要な判決「ハマキョウレックス(以下「会社」という)事件」のご紹介です。会社は、運送事業等を目的とする株式会社で、有期労働者である原告は、トラック運転手として配送業務に従事していました。
 原告と正社員間のどのような差が「不合理な差別」として、違法となるのでしょうか?
1.無事故手当 →不合理である
無事故手当は、乗務員が1ヵ月間無事故で勤務したときに限り、無事故手当として1万円が支給され、優良ドライバーの育成や、安全な輸送による顧客の信頼の獲得を目的とするものと解されるところ、優良ドライバーの育成や安全な輸送による顧客の信頼の獲得といった目的は、正社員の人材活用の仕組みとは直接の関連性を有するものではなく、むしろ、正社員のドライバーと契約社員のドライバーの両者に対して要請されるべきものである。そうすると、正社員のドライバーに対してのみ、無事故手当月額1万円を支給し、契約社員のドライバーに対しては、同手当を支給しないことは期間の定めがあることを理由とする相違であり、労働契約法第20条にいう「不合理と認められるもの」に当たると認めるのが相当である。
2.作業手当 →不合理である
会社は、作業手当は、元来、乗務員の手積み、手降ろし作業に対応して支給されていたものであるが、現在は、正社員に一律に支給されており、実質的には基本給としての性質を有しているものであるから、その支給不支給の区別が不合理であるということはできない旨主張した。しかし、過去に手で積み降ろしの仕事をしていたドライバーが正社員のみであり、契約社員のドライバーがその仕事に従事したことがないことを認めるに足りる証拠は見当たらないし、作業手当が現在は実質上、基本給の一部をなしている側面があるとしても、本件正社員給与規程において、特殊業務に携わる者に対して支給する旨を明示している以上、作業手当を基本給の一部と同視することはできない。そうすると、正社員のドライバーに対してのみ、作業手当月額1万円を支給し、契約社員のドライバーに対しては同手当を支給しないことは、期間の定めがあることを理由とする相違というほかなく、労働契約法第20条にいう「不合理と認められるもの」に当たると認めるのが相当である。
3.その他の手当差
全てについてご紹介できませんでしたので、また引き続きご紹介したいと思います。


投稿者 イケダ労務管理事務所

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