労務ニュース スマイル新聞

2018年9月 8日 土曜日

平成30年9月8日第465号

選択制確定拠出年金について


1.老後の生活資金は自助努力が求められる時代
 公的年金(国民年金・厚生年金)は現役世代から徴収した保険料を元に老後を迎えた人に給付を行う世代間扶養の方式をとっています。個人年金の様な個人別の口座等の必要がなく合理的に運用することが可能である反面、出生率の低下による高齢化率の加速・平均余命の延長から、年金額の減少や支給開始年齢の引き上げが予想され、公的年金だけでは退職後の生活資金の確保が難しくなってきました。
2.確定拠出年金のテコ入れ策
  中小企業や個人への導入を進めるため確定拠出年金法が改正、平成29年1月1日から施行されました。そのポイントは、(1)加入対象者の拡大(2)投資教育の充実(3)企業の選択肢を充実(4)手続きの簡略化です。このうち加入者の拡大については個人型に「iDeCo」と愛称をつけ加入対象者の拡大が図られました。
3.選択制確定拠出年金の導入
  選択制確定拠出年金とは、給与の一部を切り離し、企業型確定拠出年金とするか、退職金の前払い(給与)とするかを従業員に選択させる制度です。
(1)導入するメリット
  ・ 人事評価と給与の一部を切り離して考えることができる。
  ・ 従業員自身が老後の資産形成を考える機会となる。
  ・ 社会保険料・労働保険料、所得税・住民税が減額となり、事業主の経費削減と従業員の節税が同時に可能になる。保険料掛け金の拠出額は標準報酬が1等級以上下がるよう設定するのが望ましい。
(2)導入するデメリット(主に従業員側)
  ・ 掛け金が給与に含まれないことから、雇用保険の賃金日額や社会保険の標準報酬が下がるので、老齢厚生年金の額や、失業した際の基本手当が減額となる。
・ 確定拠出金年金の掛け金は労働基準法上の割増賃金の算定に入らない。
・ 確定拠出年金の掛け金として拠出した部分は60歳まで引き出せない。
・ 退職予定者、出産が近い者、病気休職予定者は健康保険の傷病手当金や雇用保険の基本手当が減額となる。
(3)導入の手続き
   企業が単独で年金規約を作成し、厚生労働大臣に承認を得る単独型と既に厚生労働大臣から承認され年金規約を持っている企業を代表事業主とし、当該制度の実施事業主として相乗り参加する統合型が有ります。導入には、労働組合の同意書や、就業規則の変更及び、選択制確定拠出年金規程の作成等が必要となります。


投稿者 イケダ労務管理事務所

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