労務ニュース スマイル新聞

2018年8月 8日 水曜日

平成30年8月8日第463号

日本型司法取引について


改正刑事訴訟法の「司法取引」制度が、2018年6月1日から施行されました。事件解決に向け重要な供述を得るために活用される司法取引は、欧米諸国で広く採用されていますが、日本で導入される「司法取引」制度とは、どのようなものなのでしょうか。

1.司法取引とは
「司法取引」制度は、特定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪(法第350条の2第2項各号の「特定犯罪」)について、検察官と被疑者・被告人が、弁護人の同意がある場合に、被疑者・被告人が、共犯者等他人の刑事事件の解明に資する供述をし、証拠を提出するなどの協力行為を行い、検察官が、その協力行為の見返りに、被疑者・被告人に有利に考慮し、これを不起訴にしたり、軽い罪で起訴したり、軽い求刑をするなどを内容とする「合意」ができるとし、このような両当事者間の協議・合意を通じて、他人の犯罪行為の訴追・処罰に必要な供述証拠等を獲得しようとするものです(法第350条の2以下)。

2.メリット
 ・被疑者らから真実を引き出すことができるのであれば真相解明に有効である。
 ・供述者の協力が得られるから、事件の迅速な処理を図ることができ、費用、時間と労力の節約になる。
・他人の犯罪に関する動機などの証拠が不十分な場合、確実な証拠を持っている者の刑を減免する約束で供述を得ると、他人の犯罪の発見が高められ、より重要な犯罪の捜査に役立つ情報が得られる。
・捜査機関が、被疑者・被告人の刑事処分に手心を加える代わりに、他人の犯罪を聞き出すことが容易になり、組織的犯罪等の解明に威力を発揮することが期待できる。
・密行性の高い組織的犯罪等について、首謀者や背後者などのような真に処罰すべき者を処罰することができる。

3.デメリット
・虚偽供述の可能性による冤罪が危惧される。(司法取引は、冤罪を惹き起こしやすい)
・被疑者・被告人が重罰を避けるため、あるいは自分の罪を軽くするために司法取引を行い、関係のない他人を巻き込んだり、犯罪の役割の軽い者に罪をなすりつけるように偽証したりする可能性がある。
・捜査機関は協力を取り付けようとし、他方、被疑者・被告人は特典の付与を期待するため、利害が一致しやすく、虚偽供述が一層起きやすくなることが懸念される。


投稿者 イケダ労務管理事務所

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