労務ニュース スマイル新聞

2016年11月 8日 火曜日

平成28年11月8日第421号

労働条件の相違の不合理性の判断基準

 ハマキョウレックス事件は、一般貨物自動車運送事業Y社に勤務する契約社員
(配送ドライバー)のXが、XとY社との間には、期間の定めのない労働契約が
成立している、また、仮に成立していないとしても、正社員と契約社員たるXと
の労働条件を比較すると、不合理な相違があると主張した事案です。

1.争点
 1)Xに期間の定めがない労働契約が成立しているか
  第1審、控訴審においては、採用の面接時、Xに対して半年、あるいは1年
後には正社員に登用する可能性があることを示唆した事実が認定されましたが、
入社時の契約書にはその旨の合意はなく、XのY社の正社員としての労働契約の
合意の事実を否定しました。
 2)労働契約法第20条(以下、「労契法」という)についての考え方
  ⅰ)第1審の判断
正社員と契約社員の業務自体に大きな相違は認められないが、正社員は、業務の
必要性に応じて業務内容や就業場所の変更命令を甘受しなければならず、管理責
任者等のY社の中核を担う人材として登用される可能性がある一方、契約社員は、
業務内容、労働時間、休憩時間、休日等の労働条件の変更がありうるにとどまり、
管理責任者等Y社の中核を担う人材として登用される可能性がある者として育成
されるべき立場にあるとは言えないとして、労契法第20条違反とは判断しませ
んでした。
  ⅱ)控訴審の判断
有期労働契約と無期労働契約との間の労働条件が単に相違するとういうだけで、
労契法第20条の適用があるものではなく、両者の労働条件の違いが「期間の定
めの有無に関連して生じたものであることを要する趣旨である」としました。
   労契法第20条に照らして不合理と認められるかどうかは、
(1)「労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度」、
(2)「当該職務の内容及び配置の変更の範囲」と
(3)「その他の事情」を考慮要素として、「個々の労働条件ごとに判断される
べきものであると解される」として、1つひとつの労働条件ごとに、労働条件の
相違と言えるかどうかを検討するとの考え方を示しました。

2.不合理性の判断
 上記(1)~(3)は、一定の「要件」としてではなく、判断する「要素」と
して位置付けられており、これらに照らして総合的に判断するという手法をとっ
ており、「同一」か否かまで厳正な判断はしておらず、弾力的な判断ができる
ようにしています。

投稿者 イケダ労務管理事務所

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