労務ニュース スマイル新聞

2016年2月 8日 月曜日

平成28年2月8日第403号

自転車通勤をめぐる問題とリスクについて

 平成27年6月1日に道路交通法が改正となり、自転車運転の違反を3年以内に2回行なうと自転車運転者講習を受けなければならなくなりました。エコブームや健康志向から自転車を利用する人が急増し、自転車と歩行者の事故が増えてきていることが背景にあります。また、自転車による事故が起こった場合、自転車通勤を容認する企業では、企業の「使用者責任」を問われる可能性を想定しなければなりません。自転車通勤を管理していくポイントと、企業に求められる対応について説明します。

1.従業員が加害者となった場合

 まず、従業員が加害者となった場合の損害賠償について考えましょう。損害賠償については、従業員がその責任を負うことになりますが、それが果たせない場合には、企業が責任を追及されることがあります。そのため、企業のリスク管理としては、従業員に民間保険への加入義務を課すなどの対策を講じておく必要があります。

2.自転車通勤途上の事故は、通勤災害と認められるか

 従業員が自転車通勤をする際に、まず心配されるのが通勤途上の事故の問題です。通勤災害として認められるためには、通勤と災害との間に因果関係がなければ保険給付の対象とはなりません。しかし、自転車通勤の場合には自由度が高いため、合理的な経路を外れる頻度が高いと考えられます。例えば、会社に届けている通勤経路ではなくても、日常生活上必要な行為として、子供の送迎のために保育園等へ行くことは、合理的な経路として取り扱われることになりますが、自宅から直接取引先に行くような場合は、通勤災害とはならず業務災害として取り扱うことになります。自転車通勤者に対し、通勤災害に関する基本的なルールを説明し周知徹底することが重要です。

 実際に自転車通勤を認めることになると、許可する際の手続などを明確に定めておく必要があります。併せて自転車通勤規程や許可申請書、誓約書の提出などのルールを定め、企業の実態に合わせた運用管理が望まれます。また、事故のリスクの高さから自転車通勤を認めないということも考えられます。認めない場合には、その旨を従業員に周知し、無断で自転車通勤をする者が出ないよう就業規則の服務規定の中に自転車による通勤をしてはならない旨を定めておくことが求められます。


投稿者 イケダ労務管理事務所

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