労務ニュース スマイル新聞

2016年1月 8日 金曜日

平成28年1月8日第401号

今年10月から始まる社会保険適用基準の拡大

 いよいよ今年10月からパートタイマー等短時間労働者の社会保険(厚生年金、健康保険)適用基準が拡大されます。現在の基準は、通常の労働者(正社員)の4分の3以上(週40時間勤務なら週30時間以上)勤務する者が社会保険加入対象ですが、新たな社会保険適用拡大の基準は、次のすべての基準を満たす必要があります。

(1)週20時間以上の勤務
(2)賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上)
(3)契約期間1年以上
(4)現行の適用基準で適用となる被保険者が501人以上(学生は適用除外)

 現在、ご存じの通り所得税で「103万円の壁」、社会保険で「130万円の壁」があります。「103万円の壁」を超えると所得税が発生し配偶者控除も受けられなくなり勤務先の制度によっては配偶者手当も打ち切られる可能性があります。そして、健康保険の被扶養者や国民年金第3号から外れ、自ら社会保険料を支払う必要が出てくる「130万円の壁」が「106万円の壁」に変わろうとしています。

 労働者のメリットとしては、健康保険に加入することにより、子が生まれた場合「出産手当金」(産前・産後休業期間)、病気やケガで会社を休んだ場合「傷病手当金」(休業後4日目から1年6ヵ月を限度)が標準報酬日額の3分の2支給されます。また、厚生年金に加入することにより、老齢年金額が増加しますし、障害にあった時の障害年金、亡くなった時の遺族年金等受けられる保障が増えます。

 企業側としては、法案が審議されていた当時からパート労働者の多い流通、外食、医療・福祉関係の事業団体を中心に、社会保険料負担(平成24年3月厚労省の試算では事業主負担計800億円増)の重さに対し反対意見が多く出されていました。

 今後、働き手側からの選択肢としては、(1)従来以上多く働いて年収を増やす(正社員を目指す)(2)労働時間を減らす(3)500人以下の会社へ転職が考えられます。ただし、近いうち(施行3年後適用要件の見直し)に適用基準(4)の人数は大きく下がり、該当企業が拡大し、加入対象となるパート等は増えていくと思われます。企業側としては社会保険料負担をカバーすべく「より多く働きたい」質の良いパート労働者の確保に向け「短時間正社員制度」等の制度構築も検討する必要があると考えます。

一方政府は、平成28年4月から4年間、現行の「130万円の壁」対策として、パート等に対して大企業で2%、中小企業で3%以上賃上げ・週5時間以上の勤務時間を増やした企業に助成金を支給する制度を始めます。
(スマイルグループ 社会保険労務士)


投稿者 イケダ労務管理事務所

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