労務ニュース スマイル新聞
2015年8月10日 月曜日
平成27年7月23日第390号
年金分割制度とは?
年金分割制度とは、離婚した場合、婚姻中の厚生年金保険(共済年金保険)記録を当事者間で分割することができる制度です。
厚生年金は、世帯単位で構成されていて、年金受給権取得後は保険料を支払った被用者に対して支払われ、それによって扶養等されている配偶者も生活する仕組みです。そのため、被用者は離婚後も従前とさほど異ならない額の年金を支給され続けるのに対し、元配偶者は基礎年金及び自己の厚生年金加入記録に対する厚生年金のみしかもらえなくなります。これでは、元配偶者が長年専業主婦等をしていた場合に不公平であるため、婚姻期間中に会社員の被用者を支えた元配偶者の貢献度を年金額に反映させる等の主旨から、離婚時年金分割の制度が平成19年、20年から施行されています。
1.「合意分割」制度
平成19年4月1日以降に離婚した場合で、当事者の婚姻期間を対象期間とし、それぞれの婚姻期間中に支払った保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)の合計額を分割する制度です。仮に合計額に対する支払比率が夫は80、妻は20なら、「按分割合」は20%を超え50%以下となります。この按分割合について、お互いに合意しなければなりません。当事者間で合意に至らなかった時は、家庭裁判所の家事調停等で決めることになります。
2.「3号分割」制度
平成20年4月1日から離婚まで婚姻期間のうち配偶者が第3号被保険者であった期間(特定期間)を対象とし、被用者の標準報酬総額の2分の1が元配偶者に按分される制度です。当事者間での合意は不要で、婚姻期間を明らかにできる戸籍謄本等、請求者の基礎年金番号、標準報酬改定請求書等で手続きができます。ただし、平成20年3月以前の婚姻期間も対象にする場合は、平成20年3月31日以前の分割については上記の「合意分割」を請求することになります。
両制度とも分割後の年金の支給を受けるには、必ず自己の記録で受給資格(原則25年)が必要です。事前に年金事務所に情報提供の請求ができ、また年金事務所への請求期間は離婚後2年以内です。
年金分割は民法の財産分与の考え方を採用しながらも、年金には老後の生活保障という重要な役目があるため、その機能を蔑ろにする分割は認められないという制約(按分は上限2分の1)があります。また、分割は厚生年金部分のみで、夫が自営業者だった場合、夫は厚生年金には加入していないため、この制度では自営業者の元配偶者は年金の分割をしてもらえません。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
年金分割制度とは、離婚した場合、婚姻中の厚生年金保険(共済年金保険)記録を当事者間で分割することができる制度です。
厚生年金は、世帯単位で構成されていて、年金受給権取得後は保険料を支払った被用者に対して支払われ、それによって扶養等されている配偶者も生活する仕組みです。そのため、被用者は離婚後も従前とさほど異ならない額の年金を支給され続けるのに対し、元配偶者は基礎年金及び自己の厚生年金加入記録に対する厚生年金のみしかもらえなくなります。これでは、元配偶者が長年専業主婦等をしていた場合に不公平であるため、婚姻期間中に会社員の被用者を支えた元配偶者の貢献度を年金額に反映させる等の主旨から、離婚時年金分割の制度が平成19年、20年から施行されています。
1.「合意分割」制度
平成19年4月1日以降に離婚した場合で、当事者の婚姻期間を対象期間とし、それぞれの婚姻期間中に支払った保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)の合計額を分割する制度です。仮に合計額に対する支払比率が夫は80、妻は20なら、「按分割合」は20%を超え50%以下となります。この按分割合について、お互いに合意しなければなりません。当事者間で合意に至らなかった時は、家庭裁判所の家事調停等で決めることになります。
2.「3号分割」制度
平成20年4月1日から離婚まで婚姻期間のうち配偶者が第3号被保険者であった期間(特定期間)を対象とし、被用者の標準報酬総額の2分の1が元配偶者に按分される制度です。当事者間での合意は不要で、婚姻期間を明らかにできる戸籍謄本等、請求者の基礎年金番号、標準報酬改定請求書等で手続きができます。ただし、平成20年3月以前の婚姻期間も対象にする場合は、平成20年3月31日以前の分割については上記の「合意分割」を請求することになります。
両制度とも分割後の年金の支給を受けるには、必ず自己の記録で受給資格(原則25年)が必要です。事前に年金事務所に情報提供の請求ができ、また年金事務所への請求期間は離婚後2年以内です。
年金分割は民法の財産分与の考え方を採用しながらも、年金には老後の生活保障という重要な役目があるため、その機能を蔑ろにする分割は認められないという制約(按分は上限2分の1)があります。また、分割は厚生年金部分のみで、夫が自営業者だった場合、夫は厚生年金には加入していないため、この制度では自営業者の元配偶者は年金の分割をしてもらえません。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所