労務ニュース スマイル新聞

2015年6月 3日 水曜日

平成27年5月23日第386号

年次有給休暇について

労働基準監督署で労働相談をしていると日々いろいろなご相談を受けるのですが、その中でも年次有給休暇については頻繁にご相談があります。その大半は「年休を取らせてくれない・・・」といった内容のものですが、まれに即答しかねるような悩ましいご相談もあります。今回は実際にあった難しい年次有給休暇におけるご相談とその回答をご紹介いたします。
1.年次有給休暇の返還
(問)入社してまだ半年を過ぎない新入社員が、病気で会社を休むことになり、気の毒に思った事業主が、年次有給休暇として取り扱ったが、結局その新入社員は退職することになった。そこで、法定以上で与えた年次有給休暇の返還を新入社員に求めたいが、可能か。
(答)一旦与えた年休を返還させることは、賃金の返還を求めることであり、賃金の全額払いに反するように思う。しかし、むしろこうした事業主の求めは、新入社員の退職に対する足かせとなり、公序良俗に反するという観点から、返還を求めるのはよろしくないという結論にいたった。
2.再雇用従業員の年次有給休暇
(問)定年退職後、嘱託社員として再度雇用する予定の従業員が、1ヵ月ほど休養をしたいとのことだが、年次有給休暇をどう扱えばよいのか。
(答)一旦雇用が途切れるので、また新たな雇用として年次有給休暇を与えるという考え方もあるが、雇用の終了時に再雇用の約束等がなされていれば、ある意味雇用が継続されていると考え、それに伴い年次有給休暇も継続すべきと思われる。途切れた期間の長さで判断する具体的数値基準はないが、一般的には1ヵ月程度であれば前出の考え方も可能である。
3.月2回勤務の場合の年次有給休暇
(問)自治体からの委託で事業をしているNPO法人に所属する労働者について、業務を行うのは月に2回程度だが、年次有給休暇は発生するのか。また、その根拠は。
(答)週5日もしくは30時間以上の勤務に満たない場合は、年次有給休暇は比例付与にて与えられるが、その場合の付与日数の計算式は、「付与日数=標準付与日数×週所定労働日数÷5.2」となる。小数点以下の端数の扱いは、通達において切り捨てとなっているため、勤務日数が月に2回程度では、年次有給休暇は発生しない。

(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所

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