労務ニュース スマイル新聞

2015年5月15日 金曜日

平成27年5月8日第385号

マタハラ訴訟に伴う厚労省からの新たな通達

平成26年10月23日最高裁判決(広島中央保険生活協同組合事件)において、妊娠中の女性労働者に対する軽易業務転換(労基法65条3項)が男女雇用機会均等法9条3項(事業主は、女性労働者が妊娠、出産、産前産後休業を請求し取得したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない)違反と判断されました。
厚生労働省の新たな解釈通達についてご紹介します。
1.原則
妊娠、出産、育児休業等を「契機として」不利益に取扱った場合、原則、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法違反と判断されます。
※「契機として」は基本的に時間的に近接しているか否かで判断されます。時間的に近接しているかは「原則として、妊娠・出産・育児等の事由終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合」で判断されます。ただし、1年超えの場合であっても、事由終了後の最初のタイミングまでの不利益取扱いは「契機として」判断されます。
2.例外(不利益取扱いの例外)
1)業務上の必要性から支障があり、当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合に、その業務上の必要性の内容の程度が、法の規定の趣旨に実質的に反しないものと認められるほどに、当該不利益取扱いによる影響の内容や程度を上回ると認められる特段の事情が存在する場合
※「特段の事情」には次のようなことが問われます。
経営状況悪化時-債務超過などにより不利益取扱いせざるを得ない事情があるか
不利益取扱いを回避する真摯かつ合理的な努力がなされたか
能力不足時  -妊娠等の事由発生以前から能力不足を指摘していたか
改善の機会を与えたか
2)契機とした事由又は当該取扱いに有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、有利な影響や内容の程度が当該取扱いによる不利な影響の内容や程度を上回り、事業主から適切な説明がなされる等、一般の労働者であれば同意するような合理的理由が客観的に存在する場合
※合理的客観的理由には次のようなことが求められます。
・不利益取扱いの間接的な影響である降格、減給についても説明されたか
・適切な説明がされ、労働者が十分に理解し同意をしたか
・自由な意思の決定を妨げるようなことがなかったか
妊娠・出産・育休等の労働者に対して、安易な労働条件等の変更対応は禁物です。トラブル回避の為にも、十分な検討をしましょう。
(スマイルグループ 社会保険労務士)

投稿者 イケダ労務管理事務所

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