労務ニュース スマイル新聞

2014年1月24日 金曜日

平成25年12月23日第352号

会社分割とうつ病
 
近年、仕事によるストレス(業務による心理的負荷)が関係した精神障害についての労災請求が増え、その認定を迅速に行うため厚生労働省では平成23年12月に「心理的負荷による精神障害の認定基準」を新たに定め、これに基づいて労災認定をしていますが、平成23年度の精神障害労災請求は1,272件(支給決定件数325件)と毎年増加傾向が止まりません。企業において、危機意識を持ったますますの労務管理、対応に配慮が必要です。

1.会社分割とは
 会社分割とは、平成12年の商法改正で認められた制度で、会社の一部を切り離して、設立会社へ移転するか(新設分割)、または、他の企業(承継会社)に吸収させるか(吸収分割)の方法により分社化を認める制度で現在は会社法に規定があります(会社法第757条~第766条)。いずれにしても消滅するA社の権利義務関係は包括的に、新設会社(C社)、または存続会社(B社)に承継されます。

2.会社承継法
 この会社分割に併せてその労働者はどのように取り扱われるのかが問題となります。労働契約も承継されるため、すなわち「承継強制の不利益」と「承継排除の不利益」が想定され、異議申し立ての制度が設けられています。

3.使用者の責任
 分割会社(A社)から、B社またはC社に移行後、短期間にうつ病に罹患したのであれば労災請求手続きはB社、C社が承継するとしても、その労働者が損害賠償を請求するのはA社なのかB社、C社なのかという問題になります。
雇用されている企業が異なっていても業務自体は一貫して継続しているのであれば使用者側に、それぞれ管理不十分として連帯して損害賠償ができると思われます。
 雇用されている企業が異なっていて、業務自体も一貫して継続していないとき、A社の業務でうつ病になったのか、B社またはC社の業務でうつ病になったのかは明確ではありません。理論的には、A社とB社またはC社に別々に損害賠償を請求することにならざるを得ませんが、うつ病という疾患上短期に罹患するとは考えにくく、やはり分割時には顕在化していなくても、分割会社にも大きく責任を問われることになるでしょう。
 安全配慮義務違反の債務が当然に承継されることは分割の際の計画書(契約書)の記載の有無もありますが、記載に有ると無いとにかかわらず、分割会社にも企業として責任は問われてくることになると思われます。

(スマイルグループ 社会保険労務士)


投稿者 イケダ労務管理事務所

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