労務ニュース スマイル新聞

2012年1月23日 月曜日

平成23年12月8日第303号

退職勧奨の留意点
会社の経営難等により行なう「雇用調整」の一手段として、「解雇」以外に希望退職や退職勧奨などの人員削減施策があります。人員削減を目標とする「整理解雇」を含む「解雇」には、経営者が一方的に雇用契約を解除できてしまうため、労働契約法は使用者の解雇を制限しています。退職勧奨は業績不振の社員や、勤務態度が著しく悪い社員などを対象とする場合もあります。
メリット・デメリット
退職勧奨は経営者が一方的に行なうものではなく、社員に辞めてもらうよう依頼するものです。社員が辞めたくないと思えば、退職する必要はありません。また、退職勧奨に関する規定が就業規則や雇用契約書にない場合でも、経営者は自由に退職勧奨を行なうことができます。
 一般的に従業員には、退職金の上積みの提示、有給休暇の消化、退職後の社会保険、年金、税金、失業給付については退職理由が「会社都合」として扱われるため、特定受給資格者に該当し、7日間の待機後すぐに失業給付を受けることができる等の説明をします。
   また、経営者は解雇予告が不要になる半面、失業給付については「会社都合」による解雇のため助成金を一定期間受け取れなくなる場合があります。
退職勧奨と不法行為
 退職勧奨が執拗で、不当に強要である場合、不法行為と評価されうるというリスクがあります。(下関商業高校事件 最高裁昭和55年7月10日第一小法廷判決)
(1)「被勧奨者の意思が確定しているにもかかわらず、さらに勧奨を継続することは、不当に被勧奨者の決意の変更を強要するおそれがあり、・・・・・一旦勧奨を中断して時期をあらためるべき」こと
(2)「勧奨の回数及び期間についての限界は、千差万別であり・・・ことさらに多数回あるいは長期に勧奨が行なわれていることは、・・・不当に退職を強要する結果となる可能性が強く違法性の判断の重要な要素」であること
(3)「被勧奨者の名誉感情を害することのないよう十分な配慮がなされるべき」こと
以上のことを総合的に勘案して、被勧奨者の自由な意思決定が妨げられる状況であったか否かを勧奨行為の適法性の判断基準として、損害賠償請求が認められています。
 行き過ぎた勧奨が行なわれると退職強要となり、トラブルになれば他の従業員のモチベーションも下がります。リスクを考え、早い段階で退職に関する合意書を交わすことも大切です。


投稿者 イケダ労務管理事務所

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