労務ニュース スマイル新聞
2010年10月23日 土曜日
平成22年10月23日(第276号)...36協定の特別条項に記載する「労使の協議を経て」とは?
36協定(時間外労働・休日労働に関する協定)に定める時間外労働の上限は、法定の時間外労働の限度基準(1ヵ月45時間・1年360時間等)を基本とします。しかし、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない「特別の事情」が予想される場合には、一定の条件の下で限度時間を超える時間を延長時間とすることが可能です。こういった協定を「特別条項付協定」といいます。
昨今、この「特別条項」が盛り込まれた36協定を届出した事業所には労働基準監督署の調査がはいりやすくなっていります。また、一般の調査でもその運用について条項どおり手続きが行われているかが、厳しく問われるケースが増えてきているため、さらに注意が必要です。
特別条項に定める内容ついては、通達に定められており、手続については次のように記載されています。
「労使当事者間において定める「手続」については特に制約はないが、時間外労働協定の締結当事者間の手続として労使当事者が合意した協議、通告その他の手続であること。また、「手続」は、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに当該特別の事情が生じたときに必ず行なわなければならず、所定の手続を経ることなく、原則となる延長時間を超えて労働時間を延長した場合は法律違反となるものであること。なお、所定の手続がとられ、原則となる延長時間を超えて労働時間を延長する際には、その旨を届け出必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要があること。」(平成11年1月29日基発第45号)
36協定の特別条項に「労使の協議を経て」と記載した場合で、実際に特別の事情に該当する場合には、誰と誰がどのタイミングで協議を行うかのシステムを構築し、実際のやり取りをその都度、議事録等で明らかにしておく必要があります。
よって、従業員に時間外労働をさせる場合には労使協定を結び所轄の労働基準監督署に届け出なければならないのは当然ですが、それだけで終わらず、締結後にはその内容を遵守し、継続的に時間外労働の管理を行っていくことが義務となります。
※特別条項の運用には「通告」という方法もありますが、労使間トラブル回避のために「労使の協議を経て」とすることが原則とされています。
投稿者 イケダ労務管理事務所