労務ニュース スマイル新聞
2010年7月23日 金曜日
平成22年7月23日(第270号)...消えた年金問題(第3号被保険者)
「宙に浮いた年金が5000万件」に代表される年金記録問題がここ数年、大問題になっています。前政権時代から始まった「ねんきん特別便」、昨年から始まった「ねんきん定期便」によって自分の年金記録を点検できるようになり、多くの人が社会保険事務所(現在は年金事務所)を訪れ、それらの人々の申告に基づいて調査と訂正作業が行われ、現在も続いています。社会保険労務士も長年、年金の記録確認作業に携わってきましたが、その中でなかなか理解されていないものの一つに「国民年金の第3号被保険者期間」があります。
昭和61年4月1日以降、「配偶者が厚生年金または共済年金の被保険者であって、自身が厚生年金または共済年金の被保険者でない場合は、国民年金の第3号被保険者とする」ことになり、自身が保険料を支払う必要がなくなりました。しかし、この身分変更は自動的に行われるのではありません。届け出が必要です。
自分が会社勤めをしていて、厚生年金の被保険者であった人が結婚し、退職した場合は配偶者が厚生年金か共済年金の被保険者であった時は国民年金の第3号被保険者になりますが、本人からの届け出が必要でした。
ところが、届け出を忘れる人が多く、結果として年金保険料の納付月数が最低限度の300月に満たなくなる人が沢山できてしまいました。今でも相談窓口で、「この期間は第3号になっているのと違うのですか?」という苦情を何度も聞かされています。このように、国民年金の空白期間の発生が止まらないので、国民年金の孔を埋めるために平成7年4月から「特例届出」制度が2年間運用されて、申告に基づいて調査・確認の結果、復活された第3号期間を「特例納付」として年金記録に追加するようになりました。また、平成14年4月からは配偶者を雇用している事業主が届け出るように変更されました。しかし、未届けが続出したため、平成17年4月から再び特例届出が認められるようになりました。
年金の期間確認に来る相談者の年金記録を見ると、まだ第3号被保険者の期間が誤っている例が時々出てきます。ご自身も第3号被保険者がどのようなものであるのか解っていない場合も多いのです。
事業主の方は、従業員のみならず、その配偶者の身分についてもご配慮いただき、「失われた年金記録」がこれ以上発生しないよう、ご確認をお願いします。
(スマイルグループ 社会保険労務士)
投稿者 イケダ労務管理事務所