労務ニュース スマイル新聞

2010年6月23日 水曜日

平成22年6月23日(第268号)...過重労働の訴訟で 和解金2億4000万円



過労死・過労障害損賠訴訟
過労による自殺で、企業に損害賠償貢任を認めた史上初の画期的判決として、電通事件があります。電通は元社員Aさんの自己申告の労働時間について過小申告を認識し、上司がAさんの健康状態の悪化に気づきながらも、業務量や労働時間の軽減を図るなどの配慮をせず、その結果、Aさんは心身共に疲労こんぱいした状態からうつ病にり患し、衝動的、突発的に自殺するに至ったものとして、最高裁は会社の損害賠償責任を認めました。会社側には長時間労働と健康状態の悪化を認識しながら負担軽減措置(安全配慮義務)を取らなかった過失があるとして、東京高裁に審理のやり直しを命じ、平成12年6月、東京高裁で合計1億6800万円を遺族に支払う和解が成立しました。
今年3月に、過労死・過労障害損賠訴訟の解決額の最高額が更新されました。外食産業企業の康正産業株式会社(鹿児島市)で、鹿屋市の元レストラン支配人が、過重な労働の結果、低酸素脳症で倒れ、寝たきりの状態になりました。鹿屋労働基準監督署は会社側の安全配慮義務違反を認めました。また従業員と両親が同社を相手取り提訴し、鹿児島地裁は、安全配慮義務違反があったことを認め、その後、同社が和解金およそ2億4000万円を支払うことで和解が成立しています。

法定労働時間は1ヵ月45時間以内に
企業は従業員の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務(安全配慮義務違反)として、民事上の損害賠償責任を負っています。労災保険法に基づく保険給付は、企業側の過失がなくても支給されるものの、補償の内容は被災者たる労働者が被った損害の一部に限られます。非財産上の損害に対する補償(慰謝料)は一切ありませんし、財産上の損害に対する補償も平均賃金(給付基礎日額)を基礎に算定された定率的な補償にとどまります。
その結果、労災保険法に基づく保険給付で補填されない損害部分(慰謝料と逸失利益)の補償を求めて、民事上の損害賠償請求訴訟が提起されます。過労死が1件発生したら約1億円の損害賠償責任が生じるものとして、企業は法定労働時間は1ヵ月45時間以内におさめるよう従業員の時間外労働の管理に改めて注意を払いましょう。



投稿者 イケダ労務管理事務所

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