労務ニュース スマイル新聞

2009年8月 1日 土曜日

平成21年8月1日(臨 時 号②)...雇用調整にまつわる支出の税務処理②

前回に引続き雇用調整に伴って支出した各種費用の税務処理について検討します。

1.解雇に伴う解雇予告手当の支払い
  解雇予告手当について、税務上は、「労働基準法第20条の規定により、使用者が予告をしないで解雇する場合に支払う予告手当は、退職手当等に該当する」こととされており、退職所得として源泉徴収の対象となります。

2.解雇処分等に係る紛争解決一時金の支出
  解雇無効の争いや過去の未払賃金の請求などに伴い、紛争解決金等の名目で金銭を支払った場合は、従業員であった者が受け取った金銭は実態により判断されます。
(1)過去の未払賃金分がある時や時間外労働手当を遡及して受給する場合は、それぞれの支給日の属する年分の給与所得として課税対象となります。
(2)紛争解決金の中に、その支払いが遅れたことに対する遅延損害金相当する部分がある場合には、その部分は雑所得として課税対象となります。
(3)不当解雇等に伴う精神的苦痛に対する慰謝料は、損害賠償金として非課税になります。

3.希望退職(勧奨退職)での優遇措置の扱い
  希望退職の募集や退職勧奨に当たって、優遇措置として退職金の加算や再就職(転職)支援を設けることが多いでしょう。退職金の加算額も含めて、企業側では全額を損金の額に算入します。従業員側は、全額を退職所得として所得税の課税対象となります。
  また、再就職(転職)支援のため人材紹介会社等への支出についても、全額を損金算入することになります。

4.休業手当の支給と雇用調整助成金の受給
  会社都合により休業手当を支払う場合は、給与として扱います。休業に伴い中小企業緊急雇用安定助成金を受けると益金の額に算入され法人税等の課税対象になります。
  勘定科目は雑収入として処理をします。助成金の収益計上は、原則として支給決定通知を受けた時点としてください。国または地方公共団体等から受け取る助成金等は、消費税の課税対象ではありません。



投稿者 イケダ労務管理事務所

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