労務ニュース スマイル新聞
2007年2月 8日 木曜日
平成19年2月8日(第187号)...パワハラ~職場における人格侵害行為
パワーハラスメントを略して「パワハラ」といいます。パワーハラスメントという言葉は造語で、「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」と定義されています。ボスハラスメント(ボスハラ)ともいわれています。これらの言葉は、職場における人格的利益の侵害を捉えたものです(人格的利益=身体的自由、自己決定、名誉、プライバシーなど)。
職場において人格侵害行為がなされた場合、行為をした個人にとどまらず、企業が使用者として、また安全配慮を怠ったとして責任を追求される場合があります。
上司が「おまえは馬鹿か。馬鹿は馬鹿なりの仕事をしろ」「帰れ、橋の下でホームレスをやった方がいい」「おい、リストラ」と呼ぶ、従業員全員のいる朝礼で「仕事の遅い人が来ました」というなど屈辱的な取り扱いを続け、さらに暴力を振るって怪我を負わせた事案について上司と企業に損害賠償責任を認めた判例があります。
現在、具体的に問題化している企業はそう多くないかもしれません。しかし、最近は権利意識の高まりを背景に、心身にわたって深刻な被害が生じているケースが取り上げられ、当事者から問題を積極的に訴えることが増えています。いったん訴訟等になれば企業イメージが著しく低下することは避けられません。そもそもこのような行為が横行しているようでは、従業員の士気も上がらず、人材の定着も見込めません。効率性の点からいっても優先して対策を講じることが肝要です。
具体的にどのような対策を講じるかについては、(平成10年労働省告示第20号参照)
(1)企業の方針を明確にし、従業員に周知する。研修・講習を行う。
(2)相談・苦情処理制度を設ける。
(3)申出に対しては迅速に処理担当者が直接事実を確認する。
(4)侵害行為をした者に対しては配置転換や就業規則に基づく毅然とした対応を取る。
(5)申し出た者のプライバシーに配慮し、申し出たことを理由とする不利益取り扱いをしない。を主なポイントと考え、セクシュアルハラスメントに対する対策をヒントにすればよいでしょう。
パワハラという言葉からは、上司と部下の関係が想起されますが、同様の問題は同僚同士でも発生します(いじめ)。職場における人格侵害行為の問題について、幅広く検討しておくことが求められます。
投稿者 イケダ労務管理事務所