労務ニュース スマイル新聞

2006年12月 8日 金曜日

平成18年12月8日(第183号)...安全配慮義務

「安全配慮義務」と似たものに「善管注意義務」という義務があります。しかし、「安全配慮義務」は「善管注意義務」と似てはいるものの、内容はずっと厳しいものです。

 事業者は労働者(公務員を含む)の生命、身体、健康の安全を保護すべき法的な義務がある、というのがいわゆる「安全配慮義務」です。メンタルヘルスの分野でも、電通の過労自殺裁判で明示されています。これに違反して労働者の生命、身体、健康の安全を損なえば損害賠償ということになります。しかも最高裁は「危険が予見可能である限りは、事業主は具体的な結果を回避する措置を講じなければならない義務」までも求めています。これは事故だけでなく病気もあてはまります。判例を見てみましょう。

大石塗装・鹿島建設事件(最高裁 昭和55年12月18日)
 転炉工場の鉄骨塗装作業中に地上31メートルから墜落即死した作業員の親族が、作業員の属していた会社と、その会社に作業を下請けさせていた会社を債務不履行もしくは不法行為に基づく賠償を請求した事件です。会社が使用を命じていた命綱を、作業者が使用していなかった重大な落ち度があったとして、第1審では賠償が否定されました。しかし、控訴審では使用者側に5割の責任があるとされました。
 最高裁では、下請け会社と、元請け会社の双方に安全配慮義務違反があったと認められ、5割の限度での賠償を命じる判決がありました。

電通事件(最高裁平成12年3月24日) 
 電通の社員が過重労働のために健康状態が次第に悪化し、平成3年8月、上司も気付く異常な言動を示して帰宅した後、翌朝自殺したという事件です。
 平成8年3月の第1審では、「常軌を逸した長時間労働」による過度の心身の疲労状態と、うつ病及びうつ病と自殺との因果関係を肯定し、上司が労働者の状態を認識しつつも具体的措置をとらなかったことに安全配慮義務不履行の過失があるとして使用者責任を認め、約1億2600万円の支払いを命じました。
 この裁判は、翌平成9年東京高裁で3割減額する判決が出ましたが、さらに平成12年最高裁でこの3割減額の判断が差し戻され、結局会社が1億6800万円を遺族に支払うことで和解が成立しています。当時、マスコミで大きく取り上げられたことを覚えておいでの方も多いでしょう。

 およそ危険が予測可能な場合は、万全の措置を講じる「安全配慮義務」が事業者に求められるようになってきています。ケガ・病気だけではなく、過重労働等による精神的な事故にもご注意ください。            (スマイルグループ 社会保険労務士)



投稿者 イケダ労務管理事務所

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