労務ニュース スマイル新聞

2005年9月 8日 木曜日

平成17年9月8日(第153号) ~着替えの時間は労働時間か?~

 女性従業員に制服を着用させたり、作業着を利用する事業所は多いと思います。ここで問題となるのが、「それら制服や作業着に着替える時間は労働時間に該当するのかどうか」ということです。
 結論から言うと、その制服や作業着に着替えないと、労務を提供できない(仕事が始められない)場合、着替えに要する時間は労働時間となります。診療所等の看護士、レストランの接客係、工場の作業員等は着替えの時間も労働時間に当るということです。

 ここで注意したいのが、着替えの時間が労働時間に該当するということは、すなわち着替えの時間について賃金が発生するということです。たとえば8時30分始業の会社の場合、8時30分までに着替えを済ませて、仕事を始められる状態にしていないと遅刻扱いにしてしまいがちです。しかし、着替えは労働時間に含まれるという考えに従うと、8時30分までに事業場に入っていれば遅刻とはならず、さらには8時30分から業務を始めるために、早目に出社して着替えた時間に対しては賃金が発生します。1日の労働時間を8時間と設定する事業所の場合であれば、時間外労働の割増賃金の対象となります。これは、業務終了後の着替えの時間にもあてはまります。「仕事をしていないのに賃金を支払わなければならないのか?」と事業主の皆様は考えられるかもしれませんが、着替えの時間も労働者を拘束している時間ですので、きっちり労働時間として管理してください。

 また、労働時間の管理については、30分単位または15分単位で行っている場合が多いですが、労働基準法の解釈では厳密にいうと1分単位となっています。1日の時間外労働時間が5分以内であるという理由で切り捨ててしまうという運営は認められていません。つい先日も、大手ファーストフードチェーンが、このような管理を行っていたため労働基準監督署から指導を受けています。指導では、2年分の労働時間を遡り、1分単位で再計算し、賃金の清算をするよう命じています。労働時間の管理については、労働基準監督署も厳しくチェックをしています。皆様の事業所でもきっちりとした労働時間の管理と把握をお願いします。

※その月における時間外、休日または深夜の総労働時間に30分未満の端数がある場合はこれを切り捨て、それ以上の端数がある場合にはこれを1時間に切り上げることは、事務簡便を目的として認められます。        

(スマイルグループ 社会保険労務士)




投稿者 osaka-genova.co.jp

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