労務ニュース スマイル新聞
2001年8月 8日 水曜日
★第55号(8/8)希望退職制度の運用にあたって事前に留意すべき点★
希望退職とは、経営をとりまく厳しい状況を社員によく説明をしたうえで、人員削減のために自主的に退職を求めるものです。
したがって、社員の理解と協力が必要不可欠です。
社員の理解と協力がなければ、希望退職は成功しないし、過剰雇用も解消しません。
希望退職は、本人の意思に基づくものとはいえ、「退職」を伴うものです。退職は、社員の人生と生活にとって重大なできごとです。
経営者の一つの責任は、社員の雇用を守ることであり、その責任を、経営環境の悪化を理由として簡単に放棄することは許されません。
今回は、希望退職制度を運用するにあたっての事前に留意すべき点をご紹介します。
1.経営責任の明確化
社員の理解と協力を得るためには、経営が不振に陥ったことについて、経営者の責任を明確にする必要があります。経営者自らの責任を明らかにすることなく、「人員が過剰になったから退職してくれないか」 「経営収支が良くないから辞めてほしい」と呼びかけても、自発的に退職届を提出して会社を去る社員はあらわれないでしょう。
2.危機意識の醸成
希望退職を成功させる条件の一つは、「社員の危機意識」です。すなわち、「経営を取り巻く環境はきわめて厳しい」「安易な方法では厳しい状況を克服できない」「仕事の量に比較して人員が過剰になっている。人員過剰を解消しなければ会社の将来はない」という意識を社員に持ってもらうことが必要です。
3.希望退職に先立つ雇用調整
希望退職を実施するまえに、退職を伴わない雇用調整策を積極的、総合的に講じるべきです。退職行為を伴わない主な雇用調整には以下のようなものがあります。
(1)時間外労働の削減・抑制
(2)休日の増加
(3)パートの再雇用停止・削減・解雇
(4)臨時社員、契約社員等の再契約停止・削減・解雇
(5)中途採用の削減・停止
(6)新卒採用の削減・停止
(7)退職者の補充見送り
(8)定年制の実施・見直し
(9)定年退職者に対する再雇用・勤務延長制の適用停止
(10)賃金調整(定期昇給の抑制・停止、ベースアップの抑制・停止、手当の減額・
不支給、賞与の抑制・不支給、基本給のカットなど)
投稿者 osaka-genova.co.jp